局面単位キャッシュ機構を持つ分散計算環境とそのアプリケーション評価
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概要
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PCクラスタなどの分散環境を対象とした並列プログラムを作成する際, ノード間に共有データがあると, 多くの場合, プログラマ自身がコピーを配置し整合性の管理などを行う必要が生じる.このような状況を解決するために, 我々は, 局面単位キャッシュ機構を持った分散計算環境を提案している.システム提供の分散オブジェクトは, プログラマが計算局面ごとのキャッシュ方針を各データについて注釈付けするだけで, 自動でキャッシュ管理を行う.本発表では, 1)局面単位キャッシュ機構の効率的な実装法と, 2)データ整合性のため意図しないアクセスを検知する機構について述べる.システムの実装にあたっては, 局面遷移時のキャッシュ送受信機構や, 局面に基づいたメソッド切替えなどの実装が必要となる.本発表では, 実行性能と実装のportabilityを両立させた実装法を紹介する.また, 一部アプリケーションの効率化に必要であった, 全PEで同じ更新操作を行うことでデータ整合性を保つメソッド実行モードも導入した.一方, 本提案システムでは, プログラマのキャッシュ方針と実際のデータアクセスが合致しないと, プログラムが意図せぬ挙動をとりかねない.そのため, キャッシュ中の値への書き込みなどを検知し, データ整合性のミスを検出する機構も提供する.本手法の有効性については, アプリケーション開発事例を通して, その記述面ならびに実行性能の評価を行う.
- 一般社団法人情報処理学会の論文
- 2006-02-15
著者
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鎌田 十三郎
神戸大学大学院工学研究科情報知能学専攻
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鎌田 十三郎
神戸大学工学部情報知能工学科
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鎌田 十三郎
プログラミング研究会論文誌編集委員会
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森本 昌治
神戸大学
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松葉 健敏
神戸大学大学院自然科学研究科情報知能工学専攻
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二ッ森 大介
神戸大学
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二ツ森 大介
神戸大学
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