分散共有メモリモデルに基づくHPC環境の高性能実装と性能評価

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分散スーパーコンピューテイング環境(DSE)は,分散システム上に分散共有メモリモデルに基づく並列処理機能を実現するハイパフォーマンスコンピューティング環境である.DSEでは移植性を考慮して,既存OS(UNIX)には手を加えず,すべての処理をユーザレベルで実装する方針を採っている.しかし,ユーザレベルでの実装を行うが故に,DSEにおける並列処理は必ずUNIXカーネルを介して行われる大きなオーバヘッドを伴い,効率良い並列処理を妨げていた.本稿では,分散共有メモリモデルに基づく並列処理に伴う細かな粒度の通信にも対応可能なハイパフォーマンスコンピューティング環境の実現を目標に,ユーザレベルで実装する際の通信処理を改善する高性能実装法を提示する.具体的には,通信処理における入出力関数の呼び出しに着目し,従来は別々のUNIXプロセスで実現していたDESのカーネルと対応プロセスの処理を1つのUNIXプロセス内で行うことによる通信処理の改善について説明する.また,並列処理プリミティブや並列アプリケーションを用いて,提示した高性能実装法の性能評価を行い,その有効性を確認した.そして,DSEの性能をさらに向上させるには,プロトコル処理などのネットワーク通信処理の高速化が重要であることが明らかにした.
一般社団法人情報処理学会の論文
1995-07-15

分散共有メモリモデルに基づくHPC環境の高性能実装と性能評価

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