抗CTP抗体を利用したhCGの超微量酵素免疫測定法とその臨床応用
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概要
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微量に存在する尿中、血中hCGの測定法として開発され特異性の高いhCGのCTP抗体を利用したSandwich法による酵素測定法についてその基礎的検討を行ってみて、その測定限界は0.2miu/mlときわめて低値までfollowでき、しかも他の蛋白ホルモンとの交差反応はLH 0.018%、FSH 0.05%、hCG-β 10.4%、hCG-α 0.011%と、従来法に比較して特にhLHとの交差をほとんど無視出来るまでに'感度を上昇させ得た。この測定法を用いて、臨床的な検討を行って、次のような結果を得た。(1)若年非妊婦人、健康男子血清においては、全てその測定値は0.2miu/mlであったが、恒常的LH上昇のみられる更年期婦人や、ovarinan dysgenesis患者の血清では最高3.1miu/mlまで上昇する例があり、hLHの他にhCG様物質の存在が推定された。(2)同様にLH-RHを負荷した正常性周期(卵胞期)でのLHの上昇と、本法による測定値は平行せず、日内変動でのLHでは、本測定法では測定限界以下であることがわかった。(3)絨毛性疾患では、従来の管理のための測定法であるHi-gonavis法、hCG-β RIA法と比べてみると、それぞれのLH level(又はcut off値)に入るまで胞状奇胎の例でみると、平均で6.4週、9.7週の解離期間があり、より長期間のfollow upに使用し得ることがわかった。(4)組織学的に確認された絨毛癌7例においては、うち5例が、本法による測定値は陽性を示し、かつそのうち明らかな再発を示した例においては、尿中hCG、hCG-β等の約16週前からの有意の上昇が確認された。以上より本測定法は、その基礎的、臨床的検討からhCGの測定を要する疾患の管理にきわめて有用であると考えられる。
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1986-07-01
著者
-
竹内 正七
新潟大学医学部産科婦人科
-
佐藤 芳昭
新潟大学医学部産科婦人科学教室
-
広橋 武
新潟大学医学部産科婦人科教室
-
須藤 祐悦
新潟大学医学部産科婦人科教室
-
佐藤 芳昭
神奈川県相模原協同病院
-
広橋 武
新潟大学医学部産科婦人科学教室
-
須藤 祐悦
新潟大学医学部産科婦人科学教室
-
須藤 祐悦
新潟大学 産婦人科
-
佐藤 芳昭
新潟大学 産婦人科
-
佐藤 芳昭
相模原協同病院産婦人科
-
佐藤 芳昭
新潟大学医学部
-
佐藤 芳昭
新潟大 医
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