臍帯の組織学的発生異常に関する検討

概要

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胎児の生命維持にとって,極めて重要な〓帯における組織学的発生異常に関する報告は非常に少ないと言える.そこでわれわれは,無作為に選択した509例について,厳密に調査し,以下の結果を得たので報告し,若干の考察を加えた.まず,血管構造についてはsingle umbilical artery 1例 (0.2%),〓帯血管が通常の3本ではなく4本あるいはそれ以上のいわゆるsupemumerary umbilical vesselsは5例 (1.O%)あった.両者共に,特定の先天奇形との関連性は認められなかったが,supemumerary umbiHcal vesselsの内,組織レベルで観察される附属血管を有する2例では,共に胎児仮死の発生を認めた。次に,aHantoic ductあるいはomphalomesenteric duct由来であるvestigial remnantsは30例(5・9%)あった.上皮型による分類ではflat epithelium型20例(66.7%),またcuboidalあるいはcolumnar epitheHum型10例(33.3%)であり,後者の中1例にomphaloceleの構造形成不全を認めた.今回の調査では,〓帯の組織学的発生異常と児の先天奇形との間に特定の関連性は認められなかったが,〓帯の異常についての一定の見解が得られたものと考えられる.
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1985-03-01