Chlamydia trachomatis女性***感染症の診断および治療における血清特異的IgA抗体の意義
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概要
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Chlamydia trachomatis (以下, C. trachomatisと略す) 女性***感染症において, 血清特異的IgA抗体の陽性率の検索と治療後の経時的推移を検討し, 本抗体の血清学的診断および治療効果判定における意義の評価を行なった。また同時にIgG抗体についても比較検討した。C. trachomatisが子宮頚部より分離培養された群におけるIgA抗体の陽性率 (IgA≧16) は94.3% (83/88) であったが, 分離陰性例では5.4% (3/55) のみで, 16倍以上のIgA抗体価の陽性率と分離成績の間には有意な相関 (χ^2, p<0.0001) を認めた。IgG抗体の陽性率は, 32倍以上が分離陽性例で100% (83/83) であったが, 陰性例でも30.6% (15/49) 存在した。分離陽性例に抗生剤経口投与2週間による治療を施行し, その後の抗体価の変動と子宮頚部よりのC. trachomatisの分離の有無を治療開始後から最長66週にわたり経時的に観察した。治療開始後2週以後は全例頚部からの分離は陰性が続き, うち20週までのIgA抗体の消長を追跡判定し得た28例についてみると, 78.6% (22/28) は20週までにIgA抗体価が8倍以下に低下した。一方, 同時に観察したIgG抗体には有意な抗体価の変動を認めなかった。以上より, C. trachomatis女性***感染症においては, 血清特異的IgG抗体が既往の感染を表わす意味が強いのに対し, 血清中の特異的IgA抗体はその活動性感染の指標となり, 治癒の判定や分離困難な部位での感染の診断の補助手段となり得る可能性が示唆された。
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1989-04-01
著者
-
菅生 元康
長野赤十字病院産婦人科
-
菅生 元康
長野赤十字病院
-
吉川 裕之
東京大学医学部産科婦人科学教室
-
川名 尚
東京大学医学部附属病院分院産婦人科
-
水野 正彦
東京大学医学部産科婦人科学教室
-
笠松 高弘
国立がんセンター中央病院 婦人科
-
水野 正彦
東京大学医学部産婦人科学教室
-
水野 正彦
東京大学医学部附属病院 産婦人科
-
笠松 高弘
東京大学医学部産科婦人科学教室
-
川名 尚
東京大学医学部分院産婦人科
-
吉川 裕之
東京大学医学部産婦人科学教室
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