絨毛性腫瘍の免疫能と免疫療法
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概要
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HCGの測定によって腫瘍細胞の消長があきらかである繊毛性腫瘍について,その臨床経過と患者の免疫能との相関を検討し,以下の結果を得た.尚,免疫能を連続的に測定した絨毛性腫瘍は7例(胞状奇胎1例,破壊性胞状奇胎2例,区分不明1例,絨毛癌3例),寛解期の免疫能を測定した症例は15例である.又,免疫能のパラメーターとしては,PPD皮内反応,PHAによる愚考末梢血リンパ球の幼若化能を用いた.1)PPD皮内反応とPHA反応は,ほとんどの症例で類似の傾向を示した.2)絨毛癌以外の症例では,治療開始前より良好な免疫能を有し,治療によっても余り変化をみなかった.BCG投与によりPPD反応は容易に陽転化した.3)一方絨毛癌では,免疫能は臨床経過と共に大きく変動し,寛解導入に成功した症例では免疫能の改善が認められた.死亡した症例では,PPD反応はBCGにPS-Kを併用する事によって陽転化したが,PHA反応は終始低い値を示した.4)HCGの推移をもとに判断すると,化学療法に免疫療法を併用する事は絨毛性腫瘍の治療上非常に有効であった.5)寛解期においては,絨毛癌以外の症例では免疫能がよく保たれていたが,絨毛癌では4例の内2例が低い値を示していた.以上の結果より,絨毛癌と絨毛癌以外の絨毛性腫瘍とでは,細胞性免疫能からみると異なった性質を有するといえよう.絨毛癌ではHCGの動きだけでは恋く細胞性免疫能(特にPHA反応)の動きが,治療の成否,予後をみる上で非常に役に立つ.細胞性免疫能の低下している絨毛癌では,たとえ寛解期にあったとしてもBCGにPS-Kを併用した積極的な免疫療法を行なうべきである
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1983-09-01
著者
-
坂元 正一
東京大学医学部附属病院産婦人科
-
川名 尚
東京大学医学部附属病院分院産婦人科
-
川名 尚
帝京大溝口病院
-
水野 正彦
東京大学医学部産科婦人科学教室
-
水野 正彦
東京大学医学部産婦人科学教室
-
川越 厚
茨城県立中央病院産婦人科
-
川名 尚
東京大学医学部分院産婦人科
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