婦人科悪性腫瘍における尿中ポリアミンの動態について
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概要
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自然界に広く存在し,細胞の増殖に深く関与しているpolyamine(spermidine,spermine)を婦人科悪性腫瘍を有する患者の24時間尿を用いてcation ione exchange column chromatographyを用いて測定を行って以下のごとき結果を得た、1)正常婦人(14例)では6.8土4,3μ moles/day予客筋腫(8例)で7.1±4.9μ moles/day卵巣のう腫(7例)で9.8土5.2μ moles/day正常妊娠(17例)で9.2±5.5μ moles/dayの値を得た.2)子宮癌においては手術症例において,その術前値では体癌(3例)27.7土9.7μ moles/day,頚癌(8例)23.8±9.9μ moles/dayであり,手術後はほぼ順調な低下傾向がみられた。一方照射療法を行った患者(12例)では照射開始前値17.6±5.9μ moles/dayであり,照射療法開始後1〜2週までは一時的上昇傾向がみられるが,3〜4週に入ると低下傾向を示してくる.3)外陰癌(3例),卵巣癌(6例)では治療前の平均値はそれぞれ20.0±4.4μ moles/day,および25.8±12.1μ moles/day であり,持続的な高値を示した2例は結果的に予後不良であった.4)絨毛性腫瘍では全胞状奇胎(9例)が mole in utero の状態では23.6±8.6μ moles/day と正常妊娠より高値でありD & C後はすみやかに全例の下降をみた.絨毛がん(7例)では全体として変動が激しく,特に脳転移を有した2例は異常な高値をみとめた.また化学療法による変動がみられ,尿中HCGとは割合よく相関するようであった.以上のごとく,婦人科悪性腫瘍患者の尿中ポリアミンは,よくその病態と治療に対する担癌生体の状況を反映するようであり,biochemical makerによる癌診断と予後追求の一つの方法として用いられるべきものと考えられる.
- 1979-10-01
著者
-
竹内 正七
新潟大学医学部産科婦人科
-
佐藤 芳昭
新潟大学医学部産科婦人科学教室
-
佐藤 芳昭
神奈川県相模原協同病院
-
樋口 朗
新潟大学医学部産科婦人科学教室
-
佐藤 芳昭
新潟大学医学部
-
鳥取 考成
新潟大学産科婦人科学教室
-
鳥取 考成
新潟大学医学部産科婦人科学教室
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