血中dysproteinemiaよりみた卵巣癌患者の予後について

概要

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卵巣腫瘍担体において血清中のCEA,α_2-HS glycoprotein,β_2-microglobulinの3者を同時に,連続的に採血測定して以下のごとき結果を得た.1)対象とした健康成人女子20例での検討ではα_2-HSは50±20mg/dlであり,CEAは2.5ng/ml以下,β_2-mは3μg/ml以下であった.2)卵巣腫瘍良性18例,中問群を含む悪性群34例において,術前における各蛋白の測定値は,良性群ではα_2-Hs:56.3土23.6mg/dl β_2-m:2・5±2・3μg/ml,CEA1.7±1.2ng/ml,悪性群でα_2-HS:33.8±33.4mg/dl β_2-mg8.4±6.1μg/ml,CEA 5.2±6.3mg/mlと両者間で有意の差があった.3)3つの蛋白の同時陽性率から検討してみると,3マーカー全て陽性であったのは良性群O%,悪性群26.9%であり,2マーカー以上が陽性を示したのは良性12.5%,悪性群50%であり,3マーカーとも全て陰性であったのは良性群62・5%,悪性群11・5%であり,3者組み合せての陽性率では,両者間に明らかな差異をみとめた.4)連続的測定からこれらの蛋白の動態をみると,CEAは術後30日では大部分が正常域に入るが,予後不良例では上昇傾向をみ,かつ腹膜偽粘液腫では術前術後も接続的高値を有しているのが特徴的であった.β_2-mでは術前より高値を示しているものの予後が悪く,かつ高値の接続を示すものも予後不良であった.α_2-HSは術前術後でかなりの変動を示し一定の傾向はみられなかった.5)CEA,α_HS,β_2-mのそれぞれの同一検体での測定値の相関は術前値での検討からは相関はみられないが,死亡例では全体としてCEA,β_2-mの上昇,α_2-HS下降の傾向がみられた.これらのことより,卵巣癌症例でCEA,β_2-m,α_2-HSの同時測定は術前診断にとって有意義であり,それらの連続測定は予後の追求を行う上で,有力な手段となり得よう.
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1979-07-01

血中dysproteinemiaよりみた卵巣癌患者の予後について

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