子宮内膜, 子宮体癌組織におけるEGF, TGF-α, EGF receptorの発現に関する分子生物学的研究

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子宮内膜組織, 子宮体癌組織における EGFとその受容体の局在は, 免疫染色法や RIA法により証明されているが, 遺伝子レベルでの発現については統一された見解は得られていない. EGF receptorを codeするc-erbBとそのligandである EGF, TGF-αの正常子宮内膜組織と子宮体癌組織各5例におけるmRNAの発現について, Northern blot法及び RT-PCR法を用いて, 検討を行った. その結果, 1. c-erbBについて ; total RNA 10μgを用いた Northern blotで, 正常子宮内膜組織において感度以下であった c-erbB mRNAが, 子宮体癌組織では3例に明瞭な bandとして検出された. RT-PCR法では, 正常子宮内膜組織, 子宮体癌組織の全例に c-erbB mRNA由来の cDNAの増幅を認めた. 2. EGFについて ; RT-PCR法で, 正常子宮内膜組織の増殖期早期の検体を除く4例に EGF mRNA 由来の cDNAの増幅を認め, 特に増殖期後期から分泌期早期の検体においてより明瞭であった. 子宮体癌では, 全例に EGF mRNA由来の cDNAが検出された. 3. TGF-αについて ; 正常子宮内膜組織, 子宮体癌全例に TGF-α mRNA由来の cDNAが明瞭な bandとして検出された. 以上より, 正常子宮内膜組織において, EGF, TGF-α, c-erbBの mRNAが検出されることから子宮内膜組織に EGFの autocrine/paracrine機構が存在し, これが周期的変化を示すことで月経周期の確立に関与している可能性が示唆された. また, 正常子宮内膜組織において Northern blotで検出感度以下であった c-erbB mRNAが, 子宮体癌組織において検出されたことから, c-erbB mRNAの過剰発現が子宮内膜のがん化に関与している可能性が示唆された.
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1995-05-01

子宮内膜, 子宮体癌組織におけるEGF, TGF-α, EGF receptorの発現に関する分子生物学的研究

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