冬季の海上の層積雲の構造と反射率
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概要
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冬季の海上の層積雲の雲頂の構造と反射率の関係を調べるために、航空機によるステレオ写真観測法を使った観測が1989年1月から1991年1月にわたって、日本海の若狭湾沖および奄美諸島周辺の太平洋上で行われた。最初に、雲頂高度と反射率との間の関係が調べられ、両者の間にはかなりよい相関が認められた。特に奄美諸島周辺での観測では高い相関が認められた。次にCloud area ratio(雲の領域率)と雲頂の反射率との関係が調べられた。その結果、低い反射率の雲域では雲頂高度が比較的低くて雲層が薄く、また、その高度差は大きく、雲頂の形状は鋸の歯のように鋭かった。一方、高い反射率の雲域では雲頂高度が高くて雲層が厚く、そして一様で形状は平で台形のような形をしていた。しかし、奄美諸島北部の例では、雲頂高度が他の2例に比して低く、しかも最高雲頂高度と最低雲頂高度との高度差が400m以上もある層積雲であったにもかかわらず、その反射率は比較的高かった。この反射率の違いはliquid water pathの差によるものと推定される。
- 社団法人日本気象学会の論文
- 1993-12-25
著者
-
武田 喬男
名古屋大学大気水圏科学研究所
-
遊馬 芳雄
北海道大学理学研究科
-
藤吉 康志
名古屋大学大気水圏科学研究所
-
谷口 恭
北海道大学大学院環境科学研究科気象学研究室
-
早坂 忠裕
東北大院理
-
田中 正之
東北大学理学部大気海洋変動観測研究センター
-
早坂 忠裕
東北大学理学部
-
武田 喬男
名古屋大学
-
菊地 勝弘
北海道大学
-
菅野 正人
北海道大学大学院環境科学研究科環境構造学専攻
-
遊馬 芳雄
北海道大学大学院理学研究科
-
田中 正之
東北大学理学部地球物理学教室
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