近接した雷雲内の中層渦によって強化された中層の rear inflowに伴うマルチセル型雷雲の発達過程
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
1994年9月8日に東海地方を通過したメソβスケールの対流雲系(MCS)の中で, 1つのマルチセル型雷雲(C)のみが特に発達し, その高度は圏界面を越えた. 本論文では, 名古屋大学の2台のドップラーレーダシステムで観測された, この雷雲の力学的及びレーダエコー構造の発達過程を報告する. 雷雲(C)は2時間以上持続し, 対流セルの平均的な移動方向と直交する方向に伸びた形をしていた. 発達初期の雷雲(C)の特徴は, 雷雲の左側に下降気流(LFD)が存在し, 雷雲右側に発散するLFDの上空で対流セルが発達していたことである. 急発達期の特徴は, 雷雲中を下降する中層の rear inflowと, 雷雲後部に新たに形成された下降気流(RFD)の存在である. この rear inflowは, 雷雲(C)の後方に存在する衰退期の雷雲中で発達した, 高気圧性の中層渦で加速され, 局在化された. また, LFD、RFD及び下降した rear inflowは互いに合流し, 合流した下降流の発散流の上で対流セルが急激に発達した. 衰弱期には, 強化されたRFD及び下降した中層の rear inflow は, 雷雲の右側に存在する主上昇流域を分断し, かつ, LFD の発散流が右側ヘ流出するのを妨げた. 以上の観測結果に基づいて, 中層の渦がrear inflowの挙動に及ほす効果と, rear inflowが雷雲(C)に及ぼす効果について議論した.
- 社団法人日本気象学会の論文
- 1997-04-25
著者
関連論文
- 第7回「東アジア域でのメソ対流系とハイインパクトな気象・気候に関する国際会議(ICMCS-VII)」参加報告
- 孤立した島の風下におけるバンド状対流雲システムの降水強化過程
- 1997年7月8日西彼杵半島に強雨をもたらした雲の発達過程(続報)
- 1997年7月8日西彼杵半島に強雨をもたらした雲の発達過程
- 長崎半島からのびるバンド状エコーの形成と発達過程 -1997年7月の長崎・天草観測-
- C360 MIRAIにより観測された西部北太平洋における夏のモンスーンオンセットに伴う降水システム組織化の変遷(熱帯大気)
- 台風9918号外縁部で発生した1999年9月24日の東海地方の竜巻とメソサイクロン
- C359 PALAU2008集中観測期間の熱・水収支(熱帯大気)
- D460 アンサンブルカルマンフィルタを用いたPALAU2005ドロップゾンデデータの同化インパクト(熱帯大気)
- P350 2005年6月15日に西部熱帯太平洋上で観測された北進するメソ対流系の環境場の特徴
- C407 パラオ周辺域における冬季と夏季の対流システムの特徴(熱帯大気)
- C406 西太平洋パラオのBabeldaob島周辺域の降水特性(熱帯大気)
- A207 パラオ周辺で実施した航空機観測から得られた水蒸気の南北分布とその放射加熱率(熱帯大気I)
- A202 パラオ周辺域の降水雲の出現特性(熱帯大気I)
- A201 パラオ周辺域で実施したデュアルドップラーレーダーと航空機を用いた観測の概要 : PALAU2005集中観測(熱帯大気I)
- 1988年の梅雨前線に沿って発生したメソスケール降雨帯の2台のドップラーレーダーによる解析 : 運動学的構造と維持過程について
- 組織化した対流性ストームの形成過程に関する数値的研究 : 第2部. セルの並ぶ方向が、スコールラインの「破線型形成」の及ぼす影響について
- 組織化した対流性ストームの形成過程に関する数値的研究 : 第1部・長寿命セルの形成パターン
- 孤立した山の風下に形成される帯状降水システムに関する数値実験
- 長江・淮河流域における91年大雨イベントのJSMモデルによるシミュレーション
- 3.3.25 気圏・水圏総合モデルに関する予備的研究(3.3 経常研究,3. 研究業務)
- 梅雨前線帯のメソαスケールクラウドクラスターとその周辺大気環境の特徴
- 停滞したメソαスケールクラウドクラスター中のメソβスケール対流雲群の構造
- 梅雨前線帯の長寿命の停滞したクラウドクラスターの発達, 維持の特徴 -1996年7月5日-7日-
- 冬季日本海メソ対流系観測(WMO-01)で観測されたバンド状降雪雲の発達
- 第7回「東アジア域でのメソ対流系とハイインパクトな気象・気候に関する国際会議 (ICMCS-VII)」参加報告
- 降雪のZ-R関係と降雪粒子の諸特性
- レーダエコーパターンの形状特徴量による筋状エコーの組織化過程の解析
- 融解雪片の分裂が雨滴の粒径分布に及ぼす効果
- C159 「みらい」MR08-02航海で観測された西部熱帯太平洋海域における降水の特徴(熱帯大気)
- Meiyu 前線帯に発生した降水システムの特徴(GAME/HUBEX)
- GAME/HUBEX IOP中の降水システム(1998年6月29-30日)の構造
- 梅雨前線の北上時と南下時に見られた風系とレーダーエコー構造の特徴(GAME/HUBEX)
- 「東アジアにおけるメソ対流系と豪雨・豪雪に関する国際会議」の報告
- フィリピン東沖の月降水量と九州南方海上の月降水量の関係の年々変化
- 鉛直シアの弱い大気場で発達した長寿命の積乱雲の3次元気流構造
- 1999年9月24日東海地方で観測された竜巻をもたらす積乱雲の構造
- 停滞するバンド状積乱雲群の evolution と構造(1)
- 中国淮河流域の積乱雲の発達過程 : ドップラーレーダ観測
- 中国淮河流域の積乱雲の発達過程と降水生成量 -ドップラーレーダー観測-
- メソβスケール雲群内の非常に発達した積乱雲のドップラーレーダ観測
- 屋久島の風下側で見られた降水の強化
- C301 PALAU-2010集中観測期間における大気と海洋表層の変動(熱帯大気,口頭発表)
- TOGA-COARE集中観測期間中のパプアニューギニア、マヌス島における雲群の構造に関するドップラーレーダー観測 : 観測の概要
- 2.「メソスケール気象」(「日本における気象学研究に関する現状と将来」第3回研究会報告)
- 衛星搭載型レーダと地上設置型観測機により観測された降雨強度を比較する場合の誤差のシミュレーションによる評価
- 第12回メソ気象研究会報告
- 降水レーダを用いた雲仙岳火砕流に伴う噴煙の構造の時間変化に関する事例解析
- 長崎半島周辺に停滞したレインバンドの構造と形成・発達・維持過程
- 地形効果による降雨の強化に関するドップラーレーダ観測
- A106 中国大陸で観測された梅雨前線帯メソ低気圧の形成過程について(降水システム)
- 「東アジアにおけるメソ対流系と豪雨の国際会議(ICMCS-IV)」報告
- 長江下流域で観測された梅雨前線のメソスケール構造
- A105 長江下流域で観測された梅雨前線のメソスケール構造(降水システムI)
- C164 梅雨期の長江下流域で発生した対流システムの観測 : 大陸東岸に現れた局地風の役割(降水システムII)
- 長江下流域で観測された豪雨をもたらした降水システムの発達過程
- 東シナ海上の寒気吹き出し雲の雲頂エントレインメント不安定に関する成層について (事例解析)
- 準実スケールの人工雲物理実験計画の紹介
- 東アジア亜熱帯域の雲量極大ゾーンの5月中旬〜下旬の急変
- D302 梅雨前線上で夜間に発達する雲システムに対する陸面加熱の役割(相互作用)
- C101 長江下流域の山の風下で発生した梅雨前線小低気圧の数値実験(降水システムI)
- C311 湿潤環境場における対流セルの寿命と蒸発冷却による浮力生成量の関係 : 2001年長江下流域梅雨期集中観測で観測された降水バンド(降水システムI)
- P411 2001年長江下流域梅雨期集中観測で観測された対流セルの特性を決定する環境場の三次元構造
- 2001年長江下流域における梅雨期集中観測によって得られた降水バンドの構造とその環境場の評価
- GAME/HUBEX IOP中の降水システム(1998年6月29-7月3日)の特徴
- GAME/HUBEX IOP 期間中に観測された大陸上の梅雨前線に伴う長寿命の停滞性メソβスケール降水系の構造
- 複雑山岳地形が風下の降雪分布に及ぼす効果 : 濃尾平野を例として
- 冬季の海上の層積雲の構造と反射率
- 雲仙岳に大規模な土石流を発生させた豪雨の特徴
- 対流性降水雲の地形による変質に関するドップラーレーダ観測
- 発達中のスコールラインのドップラーレーダ観測
- Tモード降雪雲発達時のエコー構造の特徴
- 寒冷前線帯のマルチバンドのレーダエコー構造
- 梅雨前線帯のクラウドクラスターの雲と降水の分布
- 長崎県高来町周辺に豪雨をもたらした1995年7月11日の雷雨
- C205 梅雨期に中国大陸と海上でTRMMにより観測された反射強度の鉛直プロフィルの比較(降水システムII)
- 梅雨期に長江下流域で観測された下層ジェットの特徴
- 長江下流域で観測された豪雨をもたらしたレインバンドの解析
- 梅雨期の長江下流域で発生した2つの雲クラスターの事例解析
- 雲仙岳周辺に火山性土石流を発生させた1995年の豪雨
- 石狩湾上における帯状雲の三次元風速場と発達過程 : 1992年1月31日の事例解説
- GAME/HUBEX'98 期間中に観測されたメソα低気圧に関する解析(6月29日-30日の事例)
- 「測雲レーダーに関するGEWEXワークショップ」および「WCRP放射フラックスに関するワーキンググループ会議」報告
- 1992年度日本気象学会秋季大会 スペシャル・セッション「雪」の報告
- P380 湿潤環境場における対流セルの寿命の統計解析のための対流セル自動検出・追跡アルゴリズムの開発
- J4.1:Large Scale Effects of Cloud Systems
- 大気環境場の変化とメソβスケール積乱雲群の発達 (第12回メソ気象研究会報告)
- メソβスケール積乱雲群のevolutionと周辺大気場の変化との関係 -1996年7月2日九州事例
- 2002年長江下流域における梅雨期集中観測
- 2001年梅雨期の長江下流域で発生した雲クラスターの発生環境
- 長崎市東部から諫早市方面に伸びるライン状降雨エコ-の解析と地形効果に関する考察
- 中国淮河流域で観測された大陸上のスコールラインの構造 -GAME/HUBEX IOPの事例解析-
- 2001年長江下流域における梅雨期集中観測で捉えた降水システムの特徴(速報)
- 2001年長江下流域における梅雨期集中観測
- P378 長江下流域における梅雨前線低気圧の数値実験
- A102 1996年から2003年の梅雨期におけるクラウドクラスターの出現特性と環境場(降水システムI)
- 近接した雷雲内の中層渦によって強化された中層の rear inflowに伴うマルチセル型雷雲の発達過程
- 第8回「東アジア域でのメソ対流系とハイインパクトな気象に関する国際会議(ICMCS-VIII)」参加報告
- 島原半島北部を通過した1994年11月18日の対流性降雨の活動特性 (白須賀公平教授退官記念)
- 第8回「東アジア域でのメソ対流系とハイインパクトな気象に関する国際会議(ICMCS-VIII)」参加報告