カンショ・バレイショのアスコルビン酸含有率に対する窒素および遮光処理の影響

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カンショ・バレイショにおいて窒素栄養状態がビタミンC含有率に与える影響を知ろうとして,基肥の窒素施用量を変える処理および生育期の尿素葉面散布処理・遮光処理を行い,葉身およびイモにおける変化について検討した.1)カンショ・バレイショの生重当たり総アスコルビン酸含有率は光合成部位の葉身で最も高く,次に貯蔵部位の塊根・塊茎が続き,通導組織の葉柄では小さな値であった.また,塊根,塊茎の総アスコルビン酸含有率は収穫期に向けてわずかずつ上昇した.2)カンショの総アスコルビン酸含有率は収穫期の葉身においてN3gm^<-2>区で高く,バレイショでは収穫期の塊茎においてN20gm^<-2>区で低かった.しかし,その他の時期・部位で差はみられず,窒素施用条件が総アスコルビン酸含有率に与える影響に一定の傾向はなかった.3)カンショにおいて葉身の総アスコルビン酸含有率は尿素の葉面散布により108〜121%に上昇した.また遮光処理によっては62〜81%に低下した.一方,塊根においてはこれらの処理によって総アスコルビン酸含有率は変化しなかった.4)尿素葉面散布・遮光処理による葉身の総アスコルビン酸含有率の変化は糖含有率の変化と連動しており,両者の間には正の相関関係がみられた.5)イモの総アスコルビン酸含有率とグルコース含有率との間には負の相関関係がみられ,イモにおいては基質であるグルコースと総アスコルビン酸の量は連動していなかった.6)カンショ塊根・バレイショ塊茎の総アスコルビン酸生産量は最高1.2gm^<-2> であった.イモのアスコルビン酸はその生産性および含有率の安定性から,きわめて有用な栄養成分である.
社団法人日本土壌肥料学会の論文
1992-08-05

カンショ・バレイショのアスコルビン酸含有率に対する窒素および遮光処理の影響

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