鯉こくのテクスチャーにおよぼす清酒の影響
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概要
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淡水魚の調理のなかで、わが国の伝統調理である鯉こくの嗜好性の向上を目的にして、加熱時間と加熱液への清酒添加の効果を調べ、以下の結果を得た。1)鯉こくの調理時間については、官能検査によって、うろこ、骨の硬さが低下する4時間よりも7時間、さらに10時間加熱で調製したものが好まれた。調味料の添加方法では、清酒は加熱の最初から加え、みそは最後に加えた鯉こくが好まれた。2)鯉こく調製中の魚肉、うろこ、骨の硬さはテクスチェロメーターで測定した結果、加熱時間が長い方が肉は硬くなり、うろこは軟らかくなった。いずれの硬さも清酒添加中で加熱したほうが水中よりも硬かった。骨の硬さは加熱時間が長くなるにつれて軟化し、清酒添加の効果はみられなかった。3)砕け易さ度は、10時間加熱において、肉は水中加熱の方が、うろこと骨は清酒添加加熱の方が高くなった。4)コラーゲン分解物は魚肉と皮からは1時間後に40〜50%が溶出し、それ以後は少なく、うろこと骨からは加熱中に徐々に増加しており、10時間後にはうろこからは50%が、骨からは26%が溶出していた。清酒添加加熱において肉からの溶出が水の場合よりもやや多かった。5)加熱中の筒切り肉からのカルシウムの溶出は、1時間後に少量みられたが、その後10時間まではほとんど変化がなかった。6)筒切り肉加熱中の汁の粘度は水中加熱で初期に高く、加熱中に急に低下した。清酒添加液では、水中加熱よりもかなり低く、加熱時間中に大きな変化はみられなかった。
- 1993-11-20
著者
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