淡水産植物コカナダモの微生物分解

概要

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近年,琵琶湖をはじめ全国の河川,湖沼には大量の淡水産藻類が繁殖している.太陽エネルギーの有効利用という点からみて,それらの藻類をバイオマス源として活用することはたいへん有効であるが,その目的を達成するための第一段階として、植物体の分解が必要である.本報ではコカナダモを供試植物体とし,その微生物分解について検討し,以下の結果を得た.1)コカナダモの乾燥重量率は,約5.6%,水分含有率は約94.4%であった.2)土壌試料からグラム陽性球菌1株,グラム陽性桿菌5株、グラム陰性球菌7株、グラム陰性桿菌12株,糸状菌21株を分離した.3)分離した菌株を,グラム陰性細菌,グラム陽性細菌,糸状菌のグループにまとめ,3者の植物体固形物分解について分散分析法による解析を行った.4)分散分析の結果から得られた最適条件における植物体分解率は,20時間の処理で,点推定値約66%(95%信頼区間:57.2〜75.4%)であった.5)気泡塔型培養槽を用いた土壌試料による分解実験及び分離菌を用いた分散分析による結果から判断して,供試植物体コカナダモの分解は,細菌類による第1段階の分解と糸状菌による第2段階の分解との2段階の過程をとるものといえる.
近畿大学の論文
1989-03-20