幼児の親の数教育に対する意識と数教育の実施状況
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本研究の目的は,幼児の親が幼児期の数教育に関して持っている意識と家庭で実際に行っている数教育の状況を追究することである。対象者は幼児を幼稚園に就園させている3歳児93人,4歳児169人,5歳児190人の親である。主な結果は以下の通りである。親の持つ数教育の目標は3,4歳児期では数唱・計数である。5歳児期では加減算となり,塾などへ通わせて本格的な数教育を始める。この親の意識と態度の変化は就学への期待による。幼児の兄姉の養育経験を持つ親の多くは,幼児の数能力が環境と関わることで発達するという教育観を持ち,数教育の目標を数唱・計数とする。これは幼児の兄姉の養育経験が反映した判断である。目標を加減算とする親は教育によって幼児の数能力が発達するという教育観を持ち,早期に教育を始める。親の持つ数教育の目標はその教育観と数教育の実施とに関係することが認められ,それは各個人において,かなり整合性を持つことが明らかとなった。The purpose of this study is to investigate parental concepts of mathematical education during early chilhood, and to analyze how they have taught their young child math at home. The target sample consist of 452 preschooler's parents. The main results are as follows: Most of the parents whose preschoolers are three or four years of age expect their children to acquire counting in early childhood. Most parents of five year olds want them to understand addition and subtraction. And they begin to let thier children study in a private school(cram school). This is due to the anticipation of formal arithmatic education in school. Most of the parents that have brought up thier older chidren have the idea that child's numerical ability is developed through activities in his/her enviornment. What they expect their preschooler to acquire is merely the ability to count. These observations reflect their experiences of bringing up thier older children. Those parents who expect thier children to understand addition and subtraction agree on early math education. The level of numerical ability which parents expect their child to acquire in early childhood is closely related to their concepts of mathematical education and educational behaviors. We have confirmed this relationship in each of the parents investigated.
- 上越教育大学の論文
著者
関連論文
- 幼稚園5歳クラス児の物語絵本の制作活動とそれを支える教師の援助
- 幼稚園・保育所の3,4,5歳クラス幼児における排泄の自立の実態と保育者の意識(第三十号記念号)
- 自主シンポジウム11 どのように子どもを「捉える」か : 21世紀の保育と発達研究への提言
- 3歳児が数ヶ月にわたって展開した怪獣退治遊びの検討
- 保育園3歳クラス女児ミホの幼児と保育者とのかかわり
- 保育園女児ミホの他児とのかかわりと保育者援助の実態
- 大学生の夢みるライフスタイルと自己像が示す価値観について
- 保育園0・1歳クラス児の仲間関係と保育者援助の実態
- 相像物の実在に関する子どもの認識
- 376 幼児の数概念形成の諸条件に関する検討 : 数字理解について(発達20,発達)
- 幼児のインフォーマル算数について
- 幼児の数転換能力の獲得における数詞の役割
- 幼稚園に就園する3年間で幼児が習得する数字命名の実態
- 幼稚園に就園する3年間で幼児が獲得する計数技能の実態
- 幼児が集合による数の合成・分解で使用する方略の実態
- 幼稚園に就園する3年間で幼児が構成する数の保存概念の実態
- 幼児が集合を二等分する分配方略と同数判断の方略の実態
- 幼稚園に就園する3年間で幼児が習得する数唱と数詞系列の実態
- 大学生の自分の幼児期の保育実践に対する評価
- 大学教員などが実施する保育研究と保育者の協力の実態について : 研究に対する保育者の意識の検討
- 幼児の親の数教育に対する意識と数教育の実施状況
- 3歳児の数能力の発達と精神発達及び運動発達との関連
- 幼児の数転換能力の発達と自発的数唱の使用
- 幼児の数量の多少等判断力の発達について
- 幼児の10進法構造の理解について
- 幼児の数能力・数字使用力の発達と月齢との関係について
- 幼児の数字使用力の獲得の過程について