物理量としての単位モルの導入法について
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概要
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現行の高等学校教科書や最近の教育誌では,物質量の単位モルを個数としてあつかうとか,アボガドロ定数(測定値にすぎない)に相当する原子や分子の集団を1モルの物質量と定義している。これらは,国際単位系(SI)からみると,混乱あるいは誤解と思われる。そこで,本稿ではSIを肯定する立場で,物質量という物理量やその単位であるモルを,さらに,モルを用いる物質量の測定法などを考察し,問題点を明らかにする。それらの結果をもとに,科学教育におけるモルの新しい導入法を提案する。この導入法の特徴は,単位(モル)は基準として選ばれた物理量であるとし,さらに,物質量測定法の原理は異種の要素粒子間の一対一対応にあるとして,いろいろな物質の縦横展開図を用いる点にある。In high-school textbooks and education journals there are descriptions of the concept of mole such that the amount of substance is treated as a numerical value and such that one mole is defined by use of the Avogadro constant. It seems that such statements are confusions and/or misunderstandings from the point of view of the International System of Units (SI). This paper discusses what the amount of substance as a physical quantity is and how the amount of substance is measured in terms of the mole. We propose an arrangement of chemical symbols, called a sheet of substance, written in rows and columns, in which every elementary entity for one standard substance (i.e., carbon-12 in SI) is aligned in row form, and each elementary entity for another substance has one-to-one correspondence to the carbon-12 atom. This sheet of substance would become a useful tool for us to teach students physical quantities (mole, molar mass, Avogadro constant, Faraday constant, relative mass, etc.) and the principle of measurement of the amount of substance.
- 上越教育大学の論文
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