物質量とモルの授業計画ー方法と展開ーについて
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概要
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本論文ではまず,物質量とモルを教える方法と発展を概括し,次いで,新しい授業用シートを提案する。ここでの指導法は,現在の化学教科書の伝統とは違っていて,基礎に「物理量は数値と単位との積」と「量バランス法」をすえている。前者は英語圏でいう quantity calculus における原理であり,後者は物理量を選び比較し等号で結ぶ方法である。このシートではまず,要素粒子を説明する。次に,物質量の新しい定義「要素粒子1個の量(amount)はどの要素粒子でも同じ」と「系の物質量はその系を構成する要素粒子の物質量の和に等しい」を採用する。生徒は,各種の化学法則を物質量バランスとして学習しながら,量バランス法によって,ある物質量と特別な物質量であるモルを比較し測定する。その結果は「物理量は数値と単位との積」と表記される。最後に,要素粒子の相対質量とモル質量を導入する。This paper firstly reviews methods and developments for teaching 'amount of substance' and the mole, and secondly suggests a new set of sheets for student learning. The process of learning the mole in the set violates the tradition of chemistry textbooks in Japan. The background is based on both 'a physical quantity is the product of a numerical value and a unit' and 'amount balance'; the former is the basic principle in quantity calculus, and the latter is a way of balancing between amounts of substances in the chemical world. The set deals with the concept of elementary entity in the first step in the learning process. In the second step, 'amount of substance' is defined as follows: The 'amount of substance' of one elementary entity is the same for every elementary entity, even if they are different in kind from one another; and the 'amount of substance' of a system that contains elementary entities is equal to the summation of the amounts of the elementary entities. A variety of laws in chemistry are described as amount balance in the third step, and then the way of amount balance makes it possible for students to measure a given amount of substance in terms of the mole. The set of sheets in the last step introduces students to the concepts of relative atomic mass and molar mass.
- 上越教育大学の論文
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