農用機関に対する燃料アルコールの利用(第1報) : 圧縮比の影響

概要

論文の詳細を見る
火花点火機関の代替燃料として, エチルおよびメチルアルコールを取り挙げ, 供試機関の圧縮比を高めることで燃料消費量の節約, すなわち燃料消費率の改善を図ろうと試みた。1. 出力, トルクは圧縮比変更, 供試燃料の影響をほとんど受けなかった。2. 燃料消費量は圧縮比を6.0から7.0へ高めることで平均5∿6%節約され, それに伴い燃料消費率も10%程度改善された。従って, 圧縮比を高めることは燃料消費を節約するのに有効である。3. 高圧縮比で運転することで, プラグ座温度の上昇, 充てん効率の低下, 潤滑油消費量の増加等の問題も若干認められたが, 全体的に見て負荷運転に支障のある問題は発生せず, 始動性も改善される傾向にあった。4. 圧縮比を高めることで吸入空気量が減少すると同時に, 燃料消費量も減少するため, 空燃比はほとんど変化せず, 理論値とほぼ一定した。5. オクタン価が高く, 発熱量が低いアルコールの特性を生かすためには, 機関の圧縮比を高めることが有効な一つの方法である。しかし, アルコールの持つ特性を十分に引き出すためには, 点火時期, 弁開閉時期, 冷却方式などを含めた全体的な検討も必要である。
神戸大学の論文
1983-01-30