温州ミカンの動的離脱機構と離脱応力
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概要
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温州ミカンの果実-結果枝系を対象にし,加振装置を用いた動的離脱試験を行った。果実の運動によって離層に作用する各種分力及びモーメントを測定し,離脱に必要な組合せ応力を明らかにすると共に,果皮損傷をなくし,離層から果実を離脱させるための最適離脱機構について考察した。離脱のプロセスを観察するため,高速度8ミリカメラによる撮影も行った。温州ミカンを離層から短時間で離脱させるためには,離層を支点とする果実の振子運動を励起させ,離層に作用する曲げ応力とねじりによるせん断応力を増大させる必要がある。これからの運動は,振動速度が最大となる時点で励起され,即ち,果実の離脱は加振速度に依存し,加振加速度には関係しないことが明かとなった。温州ミカンを離層から脱離させるための動的,繰り返し,組合せ応力は,最大主応力で約90kgf/(cm)^2以上,最大せん断応力では,その半分の45kgf/(cm)^2が必要である。この時,離脱するまでの応力繰り返し数は10回以下,時間にすると1秒以内で果実は落下する。これらの応力値が確保されるための加振速度は,果実-結果枝系が水平方向に加振される場合で,2.5m/sec以上,垂直方向の成分を有する,例えば45°方向加振の場合で,1.5m/sec以上が必要となる。一般に,垂直成分を有する方向で,果実-結果枝系を加振する方が,果実の離脱は容易となるが,皮が破れることによって落下する果実の割合が増加する。
- 神戸大学の論文
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