強制振動を受ける樹木の応答について(農業生産工学)

概要

論文の詳細を見る
一般生体樹木の振動応答特性を把握するため, 強制振動中の主枝の振動モード, 各枝の運動位相, 運動軌跡および枝上に分布する加速度値について検討した。1) 実際の主枝は多くの枝に分枝し, それぞれの枝は独自の振動系を構成するため, 主枝の振動応答特性を明らかにするには, 各枝の固有振動数を知ることが重要となる。低い強制振動数で主枝をゆっくりと加振し, その振動波形を周波数分析すれば, 個々の枝の固有振動数を推定することができ, その主枝が有する基本固有振動数の数は分枝した枝の数と一致した。2) 主枝の振動モードは, 基本的には片持ばりの振動モードと同型となるが, 個々の枝が形成する系の固有振動数付近で共振するため, その型は分枝する枝の数が多いほど複雑となる。特に, 主枝の主要な部分を構成する枝系の1次共振時には, その先端部の振幅が増大し, 樹冠部に結果している果実-結果枝系の不安定運動を誘発して, 果実損傷の原因となる恐れがある。3) 固有振動数の異なる隣合った2本の枝が共振するとき, 両者の先端部の運動位相が約πだけずれる場合がある。特に両者の固有振動数が異なってはいるが接近している場合, その高い方の固有振動数を有する枝の1次共振時には, 加振方向によって両者間に激しい衝突が起こり, 枝が折れ飛ぶことがある。したがって樹木損傷の回避という観点からも, 主要枝の1次共振が起こる振動数を収穫時には採用すべきでない。4) 主枝各枝先端の運動軌跡は, 加振振動数によって微妙に変化する。主枝の中で最もその主要部を構成する枝系の1次共振時には, ほとんどすべての枝が加振方向に平行な直線運動軌跡となり, しかも大振幅となる。しかし分枝した個々の枝の共振時には, それらの運動が主要枝の運動と干渉し合って, 加振方向に対し垂直の成分を有する楕円又は円運動軌跡を描き, しかもそれらの二次元的振幅は比較的小さくなる。このような運動は, 果実の離脱には有利な条件となり, 収穫時にはこのような運動軌跡が生じる振動数を採用することが望ましい。
神戸大学の論文

強制振動を受ける樹木の応答について(農業生産工学)

スポンサーリンク

概要

著者

関連論文

スポンサーリンク