果樹園用運搬機の性能と安全性について
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概要
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果樹園用運搬機であるモノレールは, 走行装置から大別すると噛合方式と摩擦方式がある。後者の方式は傾斜地での安全性さえ確保できるならば, 軌条の耐久性の問題, 高速化に伴う高能率化の可能性から, 今後さらに発展するのではないかと考え, 摩擦方式のモノレールを供試してその性能と安全性について検討した。(1) 摩擦式のモノレールでは上下一対の駆動輪を軌条に圧着させ, 摩擦力を利用してけん引走行をおこなう[figure]型式を採用しているが, 圧着力が弱わすぎると駆動輪にすべりが生じ, また強すぎると自走に必要な所要動力が増加しけん引性能が低下する。したがって, 軌条を締付ける場合, 最適な圧着力を選択する必要があり, 本研究に供試したモノレールを例にとると, 圧着力の総和が460kgの時, 最良のけん引性能を示した。(Tab. 1,Fig. 4参照)(2) モノレールが傾斜面で運搬作業を実施するにあたっては, 傾斜面を有効けん引力(最大けん引馬力時のけん引力)の範囲内で運搬走行できることと, 傾斜面で停止した場合に下方へすべり落ちないこと(ブレーキ操児が完全であると仮定)の両面から安全性を検討しなければならない。したがって, 傾斜角θは次式の範囲内になければならない。[numerical formula]および[numerical formula]供試したモノレールの載荷々重と傾斜角の関係をFig. 6に示したが, 駆動輪に最適の圧着力を加えた場合, 150kgの積荷を約50°の傾斜角まで運搬走行することができる。(3) モノレール駆動輪と軌条との間に, すべりを誘発しやすい媒介物が挿入した場合のけん引性能を検討した結果, 砂や水が軌条上に充満していると10∿20%のけん引能力の低下はあるが, さほど懸念する必要はない。しかし, オイルや水分を多量に含んだ草が軌条上をおおうと, 駆動輪のすべりが激増して, けん引性能は急激に低下する(Fig. 7参照)。特に, 傾斜面でこのような状態が起ると事故の原因となり危険であるので, 十分注意をすると同時に安全策を検討する必要がある。(4) 供試したモノレールの各部の所要動力を測定し, 効率を算出したが, 機械伝導効率は約81%, けん引効率67%, 総効率54%であった。
- 神戸大学の論文
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