低年齢期反対咬合に対する上顎前方牽引治療の術後変化について

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低年齢期にある反対咬合症例に適用した上顎前方牽引装置除去後の顎・顔面骨格形態の変化について評価し, 併せて低年齢期における上顎前方牽引装置適用の意義について検討した。研究資料は, 年齢が6歳前後で, 前歯部に反対咬合を呈し上顎前方牽引装置によって治療された女子6例, および前歯部に反対咬合を呈したが, 同装置を適用しなかった女子15例の, 約1年毎に撮影された4年間にわたる側面頭部X線規格写真である。研究結果は, 側面頭部X線規格写真の透写図上で, 線・角度計測を行い, 上顎前方牽引治療中および治療後の上顎骨と歯の位置変化を各症例毎に対照群の平均値と比較することによって求めた。結果は次の通りであった。1.上顎前方牽引装置の適用により, 上顎骨の著明な前方への位置変化と, 装置の維持歯となった上顎第二乳臼歯の近心移動が観察された。さらに前方牽引中には顎骨内において永久中切歯の唇側傾斜が見られた。2.前方牽引術後1年間では, 上顎第二乳臼歯は遠心方向への後戻り変化を示し, その後は再び近心移動を示した。3.上顎骨は術後1年間では, 下方あるいは後下方への後戻り様の成長方向転換を示したが, それ以後の変化様相は多様であった。以上のことより, 低年齢期(6歳前後)に適用した上顎前方牽引装置による骨格系・歯系の変化現象は, 術後に後戻り様変化を示すものと考えられた。
東北大学の論文
1987-06-01

低年齢期反対咬合に対する上顎前方牽引治療の術後変化について

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