最近の日本人正常咬合者の顎顔面形態について

概要

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近年, 日本人の体格変化が急速に進んできたが, これに伴い顎顔面形態にも変化が生じていることが考えられるため, 最近の日本人の顎顔面形態を見直すこととした.本研究では, まず正常咬合を有する者の顎顔面形態の変化をみるために, 1986∿1993年の間に口腔診査を行った, 平均19歳の約11, 000人よりなる集団から抽出した正常咬合を有する男女各27名について調べた。研究はそれらの頭部X線規格写真を撮影して透写図を作成し, 基準点を設定して線計測と角度計測を行い, その平均値を求め, 1950年代に報告された値と比較することとした.また多変量解析を用いて顎態の特徴を抽出し, それをもとに顎態の分類を試みた.その結果, 最近の日本人で正常咬合を有する者の顎顔面骨格型は, 1950年代に報告されたものに比べ, 男女とも下顎骨は明らかに大きく, 上顎骨はやや大きな傾向を有し, 位置的には下顎骨は前方位を示すが, 上顎骨には差異が無いことが判明した.また, 正常咬合者の顎態には多様な変異が存在し, それらは3群に分類することが妥当であることが示された.