歯の先天的欠如が顎顔面形態に与える影響 : 第2報多数歯の欠如の場合

概要

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第1報において, 4歯以下の少数歯の先天的欠如(先欠)と顎顔面形態との関連性について報告した。本研究の目的は, 先欠が5歯以上の多数歯に及ぶ場合に, それが顎顔面形態にどのような影響を与えるかについて検討することである。資料は, 智歯を除く5〜11歯の先欠を有すると診断された成長期の日本人男子4名, 女子12名計16名(平均年齢10歳3ヵ月)の側面頭部X線規格写真である。方法は, 症例毎に顔面骨格図形を作成し, 正常咬合者の標準顔面図形との重ね合わせによって, 比較評価を行った。結果は以下の通りであった。1.先欠が下顎に多い場合には下顎の後退による上顎前突傾向が, 上顎に多い場合には上顎の後退による下顎前突傾向と下顎の前上方に向かう回転傾向が示された。2.多数歯先欠を有する上顎骨の思春期前の成長では, 前方成長量が影響を受けていると考えられた。以上のことから, 多数歯先欠を有する患者に矯正治療を行う際には, 顎顔面形態やその成長に特徴的な傾向があることを考慮する必要があると考えられた。
1988-12-28