骨格型反対咬合症に対する上顎前方牽引装置の効果 : 顎骨標準成長曲線による長期的評価
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概要
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骨格型反対咬合症(skeletal class III)に対する骨格系の改善を目的として, 上顎前方牽引装置(MPA)などの顎整形装置が用いられる.しかし, 顎骨成長に対する装置の効果についての長期的かつ客観的評価は必ずしも容易ではないため, その詳細はまだ明らかとなっていない.そこで本研究では, MPAの上・下顎骨への効果について顎骨標準成長曲線を用いて長期的かつ客観的に評価すること, およびその効果の程度と関連する因子を明らかとすることを目的とした.資料として, skeletal class IIIと診断され, MPAの適用を受けた女子23名の初診時(平均年齢10.3歳), 装置撤去時(11.6歳), 思春期後期(15.4歳)の側面頭部X線規格写真(セファロ)を用いた.初診時の平均ANB角は-1.8°, Wits appraisalは-8.9mmであった.まず, セファロの透写図よりコンピュータにて計測を行い, 顎骨標準成長曲線に当てはめてSDスコアを求めた.また, SDスコアの変化と初診時年齢やセファロ各計測項目との相関を調べた.結果は以下の通りであった.1. 初診時の上顎骨前後径(A′-Ptm′)は平均と比べ著しく小さいが(-1.64SD), MPA適用によりやや改善され(-1.15SD), その後の後戻り様変化は少なく思春期後期までその効果は維持されていた(-1.09SD).2. 初診時の下顎骨全体長(Cd-Gn)は平均より大きく(+0.66SD), MPA適用に伴い下顎骨の成長が抑制され(+0.23SD), 撤去後次第に後戻りしつつあるものの, その抑制効果は思春期後期までに次第に消失しつつあることが示された(+0.43SD).3. 下顎骨全体長のSDスコアの変化とMPA適用開始年齢間および初診時の下顎骨体長(Pog′-Go)と有意な相関が認められたが, 他の各計測項目との相関は認められなかった.以上のことから, 長期的観点からみてMPA治療によって骨格型反対咬合症の顎間関係の改善が期待できることが明かとなった.このことは, 最終的な咬合形成を行ううえでMPA治療の有効性を示すものである.
- 日本矯正歯科学会の論文
著者
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三谷 英夫
東北大学 大学院歯学研究科 発達加齢・保健歯科学講座 顎発達・咬合形成学分野
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三谷 英夫
東北大学歯学部
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三谷 英夫
東北大学歯学部発達加齢・保健歯科学講座顎発達・咬合形成学講座
-
溝口 到
北海道医療大学歯学部口腔構造・機能発育学系歯科矯正学分野
-
佐藤 亨至
東北大学歯学部歯科矯正学講座
-
溝口 到
北医療大・矯正
-
吉田 育永
北海道医療大学歯学部歯科矯正学講座
-
三谷 英夫
東北大歯・矯正
-
佐藤 亨至
東北大学大学院歯学研究科 口腔保健発育学講座 顎口腔矯正学分野
-
三谷 英夫
東北大学歯学部矯正科
-
吉田 育永
北海道医療大学歯学部矯正歯科学講座
-
溝口 到
北海道医療大学歯学部
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