良い咬合 (acceptable occlusion) を有する者の顔面骨格パターンの変異について : 外科的矯正の治療ゴールの考察
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概要
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本研究の目的は, 良い咬合を有する者の顔面骨格パターンを表現する特徴空間を構成してその変異様相を調べるとともに, 成人正常咬合者を基にした平均顔面頭蓋図形(CDS)を側面形態を評価する際の標準図形として利用することの妥当性を客観的に検討することである.研究対象は, 良い咬合を有する女性98名で, それらの平均年齢は20歳9カ月, 年齢範囲は19歳3カ月から29歳4カ月であった.研究資料として側面頭部X線規格写真を用い, その透写図上において顔面骨格パターンに関する7項目の変量を設定して, 多変量解析(クラスター分析と主成分分析)を行った.結果は以下の通りであった.1. 研究対象者の顔面骨格パターンは, クラスター分析によってdivergent type, neutral type, convergent typeの3群に分類された.2. 研究対象者の顔面骨格パターンの変異を表現する特徴空間は, 主に上・下顎複合体の回転と前後的位置に関する因子, および前顔面部の垂直的バランスと下顎骨形態に関する因子によって構成されていた.3. CDSは, 特徴空間においてはneutral typeに属し, かつその集合散布領域の中央付近に位置していた.以上の結果から, 日本人成人女性の良い咬合を成立させる顔面骨格パターンは多様であるが, CDSはそれらを代表するものであることが確認された.このことは, 成人矯正治療とくに外科的矯正における顎顔面形態の改善をCDS方向に求めることが妥当であることを示唆していた.
著者
-
三谷 英夫
東北大学歯学部
-
三谷 英夫
東北大学歯学部発達加齢・保健歯科学講座顎発達・咬合形成学講座
-
菅原 準二
東北大学歯学部歯科矯正学講座
-
遠藤 教昭
岩手大学人文社会科学部情報科学
-
三谷 英夫
東北大学歯学部矯正科
-
菅原 準二
東北大学大学院歯学研究科発達加齢保健歯科学講座顎発達咬合形成学分野
-
渡辺 雅彦
東北大学歯学部歯科矯正学講座
-
遠藤 教昭
東北大学歯学部歯科矯正学講座
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