低年齢骨格性反対咬合症に対する上顎前方牽引装置の効果について

概要

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本研究の目的は, 低年齢期にある骨格性反対咬合症例に適用した上顎前方牽引装置の効果について検討することである。研究資料は3群よりなり, それらは上顎前方牽引装置による治療を受けた13例, チンキャップ装置による治療を受けた12例, および観察のみを受けた12例の治療開始時と約1年後に撮影された側面頭部X線規格写真である。研究方法は, 側面頭部X線規格写真の透写図上で角度・線計測を行い, それらの変化量を算出し, 3群間で変化量を比較検討した。研究結果の概要はつぎのとおりであった。1.上顎骨では, 上顎前方牽引装置群は, チンキャップ装置群, 観察群よりもA点の前方移動量と上顎骨前後径増加量が有意に大きく, nasal floorはcounterclockwise rotationを示した。2.下顎骨では, 上顎前方牽引装置群は, 観察群よりB点の後退量とgonial angleの減少量が有意に大きく, 下顎骨長, 下顎骨体長の増加量が有意に小さく, チンキャップ装置群とほぼ同様の変化を示した。3.歯系では, 上顎前方牽引装置群は, チンキャップ装置群, 観察群に比して上顎第二乳日歯の近心移動量が大きかった。以上の結果より, 上顎前方牽引装置は上顎乳歯列を荷重附加部として上・下顎骨に対し整形的効果を惹起させることがわかった。また, その効果は反対咬合症の改善に有効であると考えられ, 同装置の低年齢(乳歯列期)適用の妥当性を示唆するものと理解しえた。
東北大学の論文
1985-12-31

低年齢骨格性反対咬合症に対する上顎前方牽引装置の効果について

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