<原著>学生のスポーツ行動の規定要因に関する研究(2) : 社会的要因について
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概要
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本研究は, 異なるスポーツ行動における関連要因, 特に社会的要因とスポーツ関連要因の規定力の共通点と相違点を明確にすることによって, 各スポーツ行動の特性の明確化と主要な容易の抽出とを目的として行なわれた。そのため大学生(577名)を対象とする質問紙調査を実施し, (1)スポーツ実施程度, (2)健康・体力づくり, (3)スポーツ行事参加, (4)スポーツクラブ所属を外的基準, 7要因群からなる50要因を説明変数として数量化理論第II類を適用し分析を試みた。主要な結果は次のように要約される。(1)判別力と相関比 外的基準(1)実施程度は全対象者を実施群と非実施群とに区分したため相関比はかなり低かったが, 他の外的基準の相関比・判別力は著しく高く, 全体としては取りあげた説明変数の有効性・妥当性が示唆された。(2)単相関による比較 1. 要因別には, 全体的に強く関連する要因として, 現在のクラブ所属, 現在友人の奨励, 体育の好嫌, スポーツのチャンス, 大会参加経験, 等々である。2. 要因群別には, 各外的基準のすべてにスポーツ条件とスポーツ関与・意識の二つの群か非常に強く関連し, 逆に家庭環境や生活意識は一部の要因を除き, 各外的基準との関連は弱い。この結果, 相対的にスポーツ関連要因が基礎的・社会的要因に比べ強い関連を示した。3. 男女別にみると, 前記のスポーツ関連要因の関与は特に男子で顕著であり, また男子では多様な要因の関与がみられるのに対し, 女子では有意な要因が少ないこと, 等々が示唆された。4. 要因群と外的基準の関係をみると, 前記のスポーツ条件と関与・意識そして重要なる他者(特に奨励)などのスポーツ関連要因は, 何れも各外的基準との関連が強いが, 特に(2)健康・体力づくりと(3)行事参加においてそれが強い。他の群では顕著な差異は認められなかったが, 相対的には(2)と(3)は基本的特性の他に, (2)は生活意識, また(3)は生活時間とも各々かなりの関連が認められ, 更に(1)実施程度は生活時間や家庭環境で高い関連性を示した。一方(4)クラブ所属においては顕著な傾向はみられなかった。(3)偏相関による比較 1. 要因群別には家庭環境(父の学歴, 家の収入など), スポーツ関与・意識(スポーツ番組視聴, 現在のクラブ所属など), スポーツ関与・意識(スポーツ番組視聴, 現在のクラブ所属など)および重要なる他者(両親のスポーツ経験, 醐三友人の奨励など)で相関が高く, 生活意識やスポーツ条件のそれは低かった。2. 要因別には, 前記の諸要因の他, 住居形態・睡眠時間・スポーツのチャンス・過去母の奨励, 等々も規定力が強かった。3. 要因群と外的基準との関係では, 基本的特性・生活時間・家庭環境などの基礎的・社会的要因は(2)健康・体力づくりと強く関連し, 一方スポーツに関わるスポーツ関与・意識は(1)実施程度や(3)行事参加と, そしてスポーツ条件は(3)行事参加および(4)クラブ所属とそれぞれ相対的に強く関連していた。4. 男女別でも, 全体的な傾向は前記と同様であるが, 特に男子ではスポーツ条件と生活意識が, 一方女子では重要なる他者と生活時間が相対的に強い規定力であり, 更に基礎的・社会的要因の規定力は男子よりも女子において顕著であった。(4)単相関と偏相関の比較 1. 単相関と偏相関の間には顕著な差異があり, スポーツ関与・意識は単・偏相関共に高いが, 同様に高い単相関を示したスポーツ条件の偏相関は著しく低いこと, 家庭環境と生活意識は低い単相関であったが, 偏相関では前者は高く後者は低いこと, 等々が指摘された。 2. 全体的には, 単相関ではスポーツ関連要因が基礎的・社会的要因に比べ強い関連を示すのに対し, 偏相関での両者の差は少なく, 相対的に後者のウェイトが高い。 3. なお, 単相関・偏相関共に高い要因は, 現在のクラブ所属・スポーツのチャンス・現在友人の奨励・技能知識, 等々であるが, その他については著しい男女差が認められた。(5)カテゴリースコアによる比較 冬要因のカテゴリーの寄与の仕方をみると, 外的基準別, 男女別にかなり著しい差異が存在した。しかし全体的傾向としては, 生活時間や経済状態では恵まれないが, 学部や友人数などの基太的特性や施設・チャンスなどのスポーツ条件などにおいて各々恵まれている者, 人生観や余暇観などの生活意識が積極的または批判的な者, スポーツ関与・意識ではマスコミ接触は少ないがスポーツ経験が豊富でスポーツに対して好意的態度をもつ者, そして重要なる他者のスポーツ経験が豊富な者, 等々が各外的基準の実施や参加あるいは所属の方向に寄与していた。(6)外的基準の類似性各外的基準に対して強く関与する要因の内容と関与する要因の寄与の方向性という二つの視点から各外的基準の類似性をみると, 類似するものとしては(1)実施程度と(2)健康・体力づくり, あるいは(3)行事参加と(4)クラブ所属があげられ, 一方類似しないものとしては(2)実施程度と(3)行事
- 九州大学の論文
- 1982-03-30
著者
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- 藤原先生を送る
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