ラットへの卵白アルブミンと Lipopolysaccharide の免疫による Th1 型と Th2 型の細胞クローンの優先的誘導
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概要
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細胞表面抗原のCD4に陽性なヘルパーT細胞(Th)は, サイトカインの産生する種類によってTh1とTh2の2つの亜集団に分類されている.一般的に, Th1は細胞性免疫を誘導し, Th2は液性免疫を誘導する.幼弱なCD4陽性ヘルパーT細胞からこれらの亜集団への分化は, 種々の条件によって影響をうける.その条件のうちの一つは, 抗原の種類であると信じられている.我々は先にLipopolysaccharide (LPS)のラットへの注射は, 大きな抗体産生を誘導し, 一方卵白アルブミン(OVA)の注射は, 小さな抗体産生を誘導することを見いだした.この免疫学的な違いは, それぞれの注入した抗原により, 誘導されたThの性質に依存しているのではないかと考えた.この可能性を確かめるために, OVAまたはLPSをラットの腹腔内に接種し, 脾臓細胞からOVAまたはLPSに応答して特異的に細胞増殖をする, ヘルパーT細胞クローンを樹立した.それぞれ5種類ずつ, 任意に樹立したヘルパーT細胞クローンを選択し, それぞれをOVA特異的またはLPS特異的Thクローンとした.ヘルパーT細胞であることは, W3/13HLK(抗ラットT細胞)とCD4陽性であることから確かめた.選んだOVA特異的Thクローンの5種類全ては, Th1様の性質を示した.すなわちこれらのクローンはインターロイキン2とインタフェロンを産生し, 遅延型過敏症を誘導した.また選んだLPS特異的Thクローンの5種類全ては, Th2様の性質を示した.すなわちB細胞による抗体産生を助けた.従って, 腹腔内免疫よって誘導されるThクローンの亜集団は, 使用した抗原の種類に主に依存していることが示唆された.
- 九州歯科学会の論文
- 1999-08-25
著者
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井上 博雅
九州歯科大学附属歯科衛生学院
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辻澤 利行
九州歯科大学健康促進科学専攻健康増進学講座感染分子生物学分野
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大住 伴子
九州歯科大学共用試験OSCE実行委員会
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辻澤 利行
九州歯科大学
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福泉 隆喜
九歯大・微生物
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福泉 隆喜
九州歯科大学口腔微生物学講座
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大住 伴子
九州歯科大学歯科薬理学講座
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内山 長司
九州歯科大学口腔細菌学講座
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井上 博雅
九州歯科大学口腔微生物学講座
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内山 長司
九歯大・微生物
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安西 裕一
九州歯科大学口腔細菌学講座
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中野 充
九州歯科大学口腔微生物学講座
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内山 長司
九州歯科大学
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中野 充
北九州市開業
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大住 伴子
九州歯科大学 歯薬理
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安西 裕一
九州歯科大学口腔微生物学講座
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