各種ジャムに共通する甘味香気成分
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
(1) ジャムの調理加工中の特有の甘いにおいを究明するなめに,3種類の果物(ブドウ,イチゴ,ブルーベリー)を原料としてジャムをつくり,その間に蒸発する本蒸気を集め,これより得られる香気濃縮物について検索した. (2) 通常のジャムアロマとショ糖の代わりに蒸留水を入れ,同様に処理して得られたスラリー加熱アロマとの比較により,特有の甘いにおいの生成にはシ3糖が必要であることがわかった. (3) 3種のジャムアロマおよびスラリー加熱アロマについて,ジャムアロマにのみ認められる成分を中心に検討した.とくにイチゴジャムアロマにおいては,2,5-dimethyl-4-hydroxy-3(2H)-furanoneの生成が認められ,他にγ-ndeca1actoneがスラリー加熱アロマよりも多量に存在することが判明し,イチゴジャムアロマが他の2種より甘いにおいが強いのはこれら成分の影響によると考えられた. (4) 果物の種類に関与しない,ジャム特有の甘いにおいに寄与する共通な成分を知る目的で,3種あるいは2種のジャムアロマに共通する成分,およびこれらのうちジャムアロマのみに認められる成分,スラリー加熱アロマよリジャムアロマにおいてピーク面積の増えている成分について検討した.その結果,3種のジャムアロマに共通し,ジャムアロマにのみ認められる成分として,2-furyl hydroxymethyl ketoneと5-hydroxymethyl-2-furfuralを同定した.両化合物はスラリー加熱アロマ中にも存在する可能性はあるが微量であろうと考えられ,主にショ糖と各果物に共通な有機酸の加熱による相互作用で生じたと考えられる.2種に共通する成分として推定したフラノン化合物とともにジャム調理加工中に生ずる甘味香に寄与すると考えられた.
- 社団法人 日本農芸化学会の論文
著者
-
小田切 敏
岩手大農化
-
伊東 哲雄
岩手大 農
-
伊東 哲雄
岩手大学農学部応用生物学科
-
小田切 敏
岩手大学農学部
-
菅原(阿部) 悦子
岩手県立盛岡短期大学
-
伊東 哲雄
岩手大学農学部
-
伊東 哲雄
岩手大学農学部農芸化学科
-
小田切 敏
岩手大学農学部農芸化学科
関連論文
- モミジガサ(Cacalia delphiniifolia sieb.et Zucc.)のかおり成分(その2)(食品-化学(香気)-)
- 品種の異なるダイズから調製した豆乳の性質
- 飼料中のカロチンの供給と牛の健康度との関係 : II 仔牛の寒冷抵抗に対するカロチン供給の影響
- 寒冷下における動物体のビタミンAに関する研究 : (I)寒冷下におけるシロネズミの発育とビタミンAについて
- 飼料中のカロチンの供給と牛の健康度との関係 : Iカロチンの欠乏が牛の血清,肝臓その他のカロチン,ビタミンA,B1,B2,及びCに及ぼす影響
- フキ(Petasites japonicus Maxim.)のかおり成分
- ショクヨウギクのかおり成分
- 納豆菌によるピラジン類生成の培地組成について
- 各種ジャムに共通する甘味香気成分〔ジャムの香気成分の化学的研究-2-〕
- リンゴジャムの香気成分について
- 豆乳タンパク質コロイドの加熱による変化(食品-化学(蛋白質・動物)-)
- 脱カルシウム剤によるゼインミセルの組成変化について
- 乳中コロイド相塩類の希釈による溶解相への移行について
- ウド (Aralia cordata Thunb.) のかおり成分
- リンゴジャムの香気成分について
- 各種ジャムに共通する甘味香気成分
- 魚類内臟酵素の利用に関する研究(1)-各種魚類内臟の酵素力に就て-
- 納豆菌によるピラジン類生成の培地組成について
- 異なる調製法によるみそ香気成分の比較
- 枝豆香気成分の成熟に伴う変化