シイタケ搾汁中に含まれる耐熱性抗チアミン因子の成因
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概要
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新鮮シイタケの搾汁中に見出される耐熱性抗ビタミンB1活性は,内因性基質の酵素反応によるもので,その活性はニソニクやニラに及ばないがタマネギにほぼ匹敵することを見出した. シイタケの抗ビタミンB1因子はpH 9.0, 60°C,50分の反応条件で最も高い活性を示した.この条件下で生じたチオクローム反応陰性のビタミンB1誘導体は,システインやグルタチオンによって容易にチオクローム反応陽性のビタミンB1に還元された.抗ビタミンB1因子の前駆体をシイタケ子実体のエタノール抽出物からイオン交換クロマトグラフィーによって単離したところ,レンチニン酸と同じものが得られた.再構成実験の結果,レンチニン酸から抗ビタミンB1因子を生成するには,γ-グルタミルトランスフェラーゼとC-Sリアーゼの関与が不可欠であることが判明した.再構成系にビタミンB1を共存させると,シイタケの特異香気成分レンチオニンおよびホルムアルデヒドの生成が抑制された. これらの結果およびシイタケのレンチニン酸含量と抗ビタミンB1活性との間の化学量論的関係から,シイタケ搾汁中に見出される抗ビタミンB1因子の大半は,レンチニン酸からレンチオニンを生成する反応の中間体の一種チオスルフィネートに帰属させることができる.
- 社団法人 日本農芸化学会の論文
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