ワイン中の高級アルコールおよび酢酸エチルの生成条件
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概要
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1. ブドウ果汁のアルコール発酵条件による高級アルコールならびに酢酸エチルの生成について検討した.発酵条件はブドウ品種,酵母株,糖濃度,窒素化含物,フェノール化合物,アスコルビン酸,果汁の希釈,亜硫酸,好気,嫌気,果汁〓,ブドウ果皮および発酵温度について行った. 2. 高級アルコールの生成は酸化的条件ならびに高温側条件(20°C以上)で促進されたが,還元的条件および低温側条件(20°以下)で抑制された. 3. A/B比(Isoamyl alcohol/Isobutyl alcohol)は,酸化的条件および窒素化合物含有濃度の高い場合に小さくなり,亜硫酸使用ならびに窒素化合物含有濃度の低い場合に大きくなった. 4. 1に述べた発酵条件は,高級アルコールとA/B比を因子とする散布図に適用した:高級アルコール200mg/l,A/B 4.0を規準として散布図を4区分(区分I〜IV)に分け,それぞれ影響する条件をあてはめた.市販テーブルワインについて,区分別の分布割合をみたところ,発酵を促進する条件(区分I, II)での分布が多かった.産地国やブドウ品種別の散布図における分布傾向から,それぞれの発酵条件を推定した. 5. 酢酸エチルの生成は,酸化的条件ならびに高温側条件により促進されたが,果汁の希釈,亜硫酸使用および還元的条件で抑制された.それらの結果から,酢酸エチルの生成促進条件は散布図における区分Iの条件に一致することが判明し,区分Iに分布するワインの酢酸エチルの含量は多いことが示唆された.すなわち,区分Iの市販ワインの酢酸エチルの含量は,他区分より多い傾向が示され,推定した結果と一致した.
- 社団法人 日本農芸化学会の論文
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