イチゴの休眠に関する研究 (第1報) : 保温開始期がイチゴの発育に及ぼす影響の品種間差異
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概要
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1. 一般にイチゴの半促成栽培において, その保温開始期が早過ぎると, 葉柄が伸びず, 葉身は小さく, 地上部がロゼット状になることが観察されている。これはイチゴのいわゆる“休眠”に基因するものであり, 品種によりその程度はかなり異なる。本実験は紅鶴, ワンダー, 福羽, 乙女, Fairfax, 四季成, Victoria, 幸玉, Donner および Fresno の10品種を用いて, 1月4日, 1月18日, 2月1日に保温を開始し, その後の発育, 開花の状態ならびにランナーの発生を調べ, 各品種の休眠の程度を推定した。2. 葉柄と葉身長は保温開始期がおくれる区ほど長くなる傾向があり, なかでも Fresno, Donner, 幸玉, Victoria, 四季成, Fairfax, および乙女においてその傾向がいつそう顕著であつた。3. 四季成, Victoria, 幸玉, Donner ならびた Fresno の開花数は保温開始期がおくれる区ほど多くなり, 紅鶴, ワンダー, 福羽, 乙女ならびに Fairfax においては逆の傾向がみられた。保温開始から開花までの日数は, Fairfax, 四季成, Victoria, 幸玉, Donner ならびに Fresno では, 保温開始期がおくれるほど短縮されたが, 紅鶴, ワンダー, 福羽ならびに乙女においては1月4日の開花が最も早かつた。4. ランナーの発生数は概して保温開始期がおそいほど多く, 特に Fresno およに Donner の保温区は実験期間中ランナーの発生がみられなかつた。5. 本実験の結果を総括すると, いわゆる休眠は紅鶴, ワンダー, 福羽, 乙女, Fairfax, 四季成, Victoria, 幸玉, Donner および Fresno の順に深く, 休眠の浅い品種のなかでも促成栽培に用いられる紅鶴, ワンダーおよび福羽のそれは最も浅く, 半促成栽培に用いられる幸玉と Donner ではやや深く, Fresno においては最も深いことが推察された。
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