イチゴの休眠に関する研究 (第2報) : 保温開始期と日長がダナーの生長, 開花, 結実に及ぼす影響
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概要
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1. イチゴの品種ダナーを, 9月28日から翌年2月1日まで2週間おきに, 20株ずつほ場より10°C以上に保持された温室内に移して保温を開始し, 半数を自然日長下に, 他を長日処理 (16時間日長) 下において, 保温後の株の栄養生長や, 開花, 結実に及ぼす影響を調べた。2. 保温開始後の株の葉柄, 葉身長, 葉数, 葉面積,生体重およびT/R率などは, 常に自然日長区より長日区において大であつた。9月28日区より保温開始期が遅くなるほど, 次第に保温後の栄養生長が不良となり, 葉柄, 葉身, 花柄長などが短かく, 葉面積が小さく, ねん転葉が多くなつた。このような株のわい化状態は11月23日区で最も著しかつたが, 同日以後に保温開始した区では, 時期が遅くなるほど保温後の株の栄養生長はおう盛となつた。このことから休眠の最も深いのは11月23日頃であることが推察された。ランナーの発生の時期は, 自然日長区では2月1日,長日区では1月18日であつたが, 同時期頃には休眠が完全に打破されたと思われた。3. 自然日長区では, 保温開始後, 開花の山が2つみられた (開花開始より60日を境として, 前の開花を第1次, 後を第2次とした)。長日区では休眠の浅い時期, およびほぼ打破されて以後の区では第1次開花のみで, 第2次開花がなかつたが, 休眠の深い時期に保温開始した区では, 第1, 2次の開花がみられ, また両次の開花は連続的でとぎれることがなかつた。このように休眠が深い時期に保温開始すると, 長日下でさえも花芽が形成されて開花が行なわれることを認めた。4. 以上の結果より, ダナーの半促成栽培における保温開始の適期について考察を行なつた。
著者
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