温床床土に関する研究 (第3報) : キュウリ, ナス, トマト育苗用速成床土
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
果菜類の育苗用速成床土についての研究を行ない, キユウリ, ナスについて土壌と有機物の比率をかえた組成試験, ならびに施肥量試験を行なつた。またトマトについて補足的な試験を行なつた。1. キユウリでは土壌 (火山灰土) : 有機物 (腐葉土)が容積で1:3の時, 苗の生育が最も良かつた。ただし, この床土は有機物が多いため, 乾燥しやすく, そのため発芽不揃いになりやすいので, まず川砂の発芽床には種し, 子葉展開後この床土に移植する方法が均一な苗が得られて好ましい。施肥量は1:3の床土でN100mg/l, P2O5 1,000mg/l以上, K2Oは400mg/lの場合苗の生育が最も良かつた。Nの過多およびP2O5欠乏区は生育がはなはだ不良であつた。またK2Oは0〜800mg/l区で生育に有意差はみられなかつた。は種後30日ごろの正常な苗では, 地上部の無機成分は大体N 5.3〜5.9%, P2O5 0.5〜0.6%, K2O 5.7〜6.6%位の含量を示した。2. ナスでは土壌: 有機物が3:1の組成のとき, 最も苗の生育が良かつたが, 2:2, あるいは1:3の組成の土での苗の生育とは有意差はなかつた。施肥量は3:1の床土で, N 200mg/l, P2O5 2,000mg/l以上, K2O 200mg/lの場合, 苗の生育が良くキユウリ, トマトに比べて最適施肥量は2倍に近かつた。キユウリの場合と同様多N, 少P2O5区の生育ははなはだ不良であつた。またK2Oは0〜800mg/l区で生育に有意差はみられなかつた。は種後30日ごろの正常な苗では, 地上部の無機成分は大体N 6.0〜6.9%, P2O5 0.4〜0.5%, K2O 6.8〜7.3%位の含量を示した。3. トマトの場合, 施肥量は2:2の床土でN 25〜100mg/l, P2O5 1,000mg/l以上, K2O 200mg/lの場合苗の生育が良かつた。しかしK2Oは100〜400mg/l区まで生育に有意差は認められなかつた。正常な苗の地上部の無機成分は, 発芽後2週間たつた苗ではN 6.4〜6.5%, P2O5 0.5〜0.6%, K2O 5.1〜5.9%, 3週間たつた苗ではN 6.0〜6.4%, P2O5 0.4〜0.5%, K2O 6.2〜7.0, 4週間たつた苗ではN 5.2〜5.9%, P2O5 0.4〜0.5%, K2O 6.2〜7.0%位の含量を示した。4. 施肥量と苗の茎葉中の無機成分間には拮抗作用がみられ, N施肥量が多いとK含量は低く, K2O施肥量が多いとN含量は低かつた。
著者
関連論文
- 温床床土に関する研究 (第8報) : 土と有機物の比率の異なる混合土の化学性
- 温床床土に関する研究(第4報) : 果菜類苗の根系の発達と移植の植えいたみについて
- 温床床土に関する研究 (第5報) : 石灰窒素加用の床土たい積中の成分の変化, ならびに同熟成床土におけるトマト苗の生育
- 温床床土に関する研究 (第3報) : キュウリ, ナス, トマト育苗用速成床土
- 温床々土に関する研究 (第1報) : トマト育苗用速成床土
- 温床々土に関する研究 (第2報) : 床土の土壌水分がトマト苗の生育に及ぼす影響
- キャベツ結球葉中の糖分の季節的変動
- コモ代用のプラスチック製トンネル被覆資材の保温性
- トマトの高温障害に関する研究 (第3報) : 種々のステージの花蕾に及ぼす高温の影響
- トマトの高温障害に関する研究 (第1報) : 苗齢と障害の程度
- トマトの高温障害に関する研究(第2報) : 高温の持続時間と障害の程度
- イチゴの休眠に関する研究 (第2報) : 保温開始期と日長がダナーの生長, 開花, 結実に及ぼす影響
- イチゴの休眠に関する研究 (第1報) : 保温開始期がイチゴの発育に及ぼす影響の品種間差異
- 洋ナシバートレットの追熟について (第2報) : 冷蔵および追熟中の成熟過程ならびに呼吸量
- 洋ナシバートレットの追熟について(第1報) : 追熟温度と冷蔵処理の影響