温床々土に関する研究 (第2報) : 床土の土壌水分がトマト苗の生育に及ぼす影響
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概要
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床土の組成に関係の深い灌水についての資料を得るため,また従来果菜類の育苗でしばしばみられる灌水を控え目にすることの是非を確かめるため,トマトを用い,1959〜60年に実験を行なつた。 1.実験はガラス室内でブリキ箱を使用して行なつた。火山灰土・配合土(火山灰土1:腐葉土1)・川砂の3種類の土壌を用い,おのおの容水量WCおよび永久萎凋率PWPを測足しその間の水分量を有効水分量AWとした。毎日灌水区およびAWの25, 50, 75, 100%の水分消失量があつた時に,灌水してWCにまで戻す区を設け,毎日重量を測定して水分消失量を知り必要量だけ土壌に灌水した。 2.処理開始5〜6日で処理間に生育の差が現われ,火山灰土・配合土ではAWの約50%,川砂では約75%の水分消失量があつた時に苗の萎凋が始まつた。苗はまず子葉が黄化して下垂し,やがて褐変して枯死に至り,本葉の葉色が濃緑色となり,葉身は内側に捲き,萎凋が進むと生育は殆んど停止した。しかしかなり萎凋していても灌水すれば速やかに回復し,生育は再び旺盛となつた。 3.いずれの土壌においても,灌水量が少ない区ほど生育が劣つた。水分消失量と生育量との相関は高く,花芽の分化状態はほぼ生育と平行していた。 4.乾燥した時,灌水を控え目にしてAWの75, 50%にまで戻す実験を行なつたが,その結果も同様で,やはり灌水量が少ない区ほど生育が劣つた。 5. AWの25, 75%の水分消失量があつた時に,灌水してWCにまで戻す区を設け,灌水温を0°, 20°, 40°Cの3段階にした。その結果は灌水量による生育の差は顕著であつたが,灌水温による差は全然認められなかつた。 本研究は杉山教授の御懇篤な御指導の下に行なわれた。ここに厚く御礼申し上げる。また実験実施上種々協力された岩堀修一氏に感謝する次第である。なお本研究費の一部は文部省科学研究費によるものである。
著者
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