温床々土に関する研究 (第1報) : トマト育苗用速成床土
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概要
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温床々土は前年の夏頃から堆積し,数回切換えして使用するのが普通であるが,作製法に一定の規準がなく,また労力を多く要し,肥料養分の溶脱があるなど不都合が多い。もつと簡便に使用直前に調合できないかと考え,1955〜59年にわたり,数多の速成配合土を作り,これにトマトを育苗して生育を調べた。 1. 床土の原土としては火山灰土が優れ,川砂・荒木田はこれより劣つた。有機物は腐葉土がピート・堆肥に勝つた。原土と有機物の混用割合は容積で等量の場合が最も苗の生育が良かつた。有機物を細かく篩別しても効果なく,土壌調整剤の使用や,配合土に砂を加用した場合も大した効果がなかつた。 2. 加用する肥料は種類が制限され,米糠・油粕・魚粕などや石灰窒素は使用できない。Nは尿素・硫安などが良いが適量の幅が狭く,多過ぎると生育は著しく阻害される。P2O5は過石・熔燐をある量以上加えると十分で多過ぎても別に支障はない、K2Oは硫加・塩加などが良く,多過ぎると生育不良になる。 火山灰土と腐葉土が等量の配合土の施肥量が1立坪(約6000l)に対し,N430〜870g,P2O5 4300g以上,K2O 430〜870gの場合苗の生育が最も良かつた。 3. この配合土で作つた速成床土で1958, 59の両年附属農場でトマトを育苗し,圃場試験を行なつたが,初期・総収量とも慣行床土に比べ全然差異がなく,トマトの育苗は速成床土でも何ら差支えないことが判つた。 本研究は杉山教授の御懇篤な御指導の下に行なわれた。茲に厚く御礼を申し上げる。また岩田助教授を始め,千葉大渡辺助教授,東大農場主任川廷助教授には種々実験上御示唆や御援助を賜わつた。記して深謝の意を表する次第である。なお本研究費の一部は文部省科学研究費によるものである。
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