種子の発芽•発生に及ぼす土壌水分の影響
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概要
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土壌含水量の種子の発芽•発生に及ぼす影響を知るために, 川砂(粗砂), 沖積土(細砂埴壌土), および火山灰土(細砂壌土)を用いて実験を行なつた。1. ダイコン, ナタネ, ヒマワリの種子の発芽限界土壌水分は, 沖積土, 火山灰土ではほぼ永久萎凋点に等しく, 川砂では永久萎凋点よりも高かつた。発生限界は発芽限界よりやや高かつた。ニンジンは上記3種に比べて発芽•発生の限界はともにかなり高かつた。ニンジン種子の吸水力は他の種類に比べて低かつた。このことが発芽•発生の限界土壌含水量の高い理由と考えられた。川砂は保水量が少なく, 萎凋点付近では種子の発芽, 発生に必要な水分量が得られにくいために, 発芽, 発生限界の土壌含水量が, 永久萎凋点よりも高くなるようである。2. 土壌含水量が多い場合は平均発生所要日数はほぼ一定であるが, ある限界より低くなると日数はしだいに増加した。その限界はほぼ最少毛管水量の土壌水分と等しかつた。3. 大粒のエンドウ種子はあらかじめ吸水させてまくと, 発芽, 発生限界の土壌含水量は低くなつた。しかし, 小粒のトマト種子ではほとんど影響がなかつた。このことから, 限界には種子の吸収する水分量も影響することが示された。4. 以上の結果から, 種子の発芽および発生の限界土壌含水量は, 主として土壌の水分張力により規制されるが, 同時に種子の吸水力, 種子の吸水量, 土壌の保水力あるいは給水能力なども関係することが認められる。
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