タカナ類の種子の休眠について (第2報)
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概要
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1. さきに報告した低温処理以外に, タカナ類の休眠を破るに有効な方法を検索した。2. 吸水した種子を剥皮することによつて幼根はすべて伸長を始めた。又種皮を傷付けるのみでも遅れて発芽した。3. 休眠中期の鰹菜では水道水を放流して6時間以上水洗するとよく発芽したが, 浸種は1日に及んでも効果がなかつた。然し葉芥子, 柳川高菜では1日の浸種でよく発芽した。4. 酸素のみ, 或は酸素と炭酸ガスの双方の分圧を高めたガス中に置床しても発芽はみられなかつた。5. チオ尿素は0.5〜1%で, 尿素は0.01〜1%で休眠を破る効果があつた。チオ尿素は低温に匹敵する効果を示し, 尿素は僅かに劣つたが, 鰹菜のみは尿素によりよく反応した。又尿素の濃度と効果との関係には興味ある現象がみられた。6. 硫青化物には決定的な効果はなかつたのに反し, アラニン, アルギニン等アミノ基をもつ化合物には尿素と同等の効果を示すものがあり, アンモニアも亦有効であつた。硝酸塩及びアンモニウム塩には決定的な効果をもつものがなかつた。7. 休眠の機構について2, 3の考察を試みた。タカナ類の種子の休眠は, その原因が種皮部にあることは明らかであるが, 種皮の物理性の異常が関与するとしても, それのみで直接発芽を抑えているという可能性は少く, むしろガス透過性の異常によつて有害物質が蓄積することが考えられる。一方, 種皮部に何等かの抑制物質が存在して, 種皮の物理性を異常にし, 或は胚の生長を直接抑えることによつて, 発芽を不可能ならしめていることも考えられる。
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