蔬菜類種子の発芽に及ぼす酸素及び炭酸ガス濃度の影響
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概要
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1. ガス組成を終始一定に近く保ち得る連続通気法によつて, 19種類に及ぶ蔬菜類種子の発芽に対する酸素及び炭酸ガス濃度の影響を実験した。2. 標準のガス条件下に近い発芽を得るためには, 一般に10%以上の酸素濃度を必要とし, 発芽可能な限界の酸素濃度は5%以下にあつた。酸素濃度の減少に伴う発芽率の減少及び平均発芽日数の増大の割合は, 種類によつてかなりの相異があつたが, 温度によつては予想されたほど影響されなかつた。3. 最も低い酸素濃度で発芽し得た種類はキウリ, シロウリ, ネギ等で, 酸素1%で標準の20%以上, 2%で50%以上の発芽率を示した。セルリー, ダイコンは酸素5%でも殆ど或は20%以下しか発芽せず, 前者と著るしい対照を示し, 他の類種は両者の中間に位置した。4. 炭酸ガスの発芽抑制効果は, 酸素が15%も共存する場合は40%で始めて顕著に現れた。共存酸素5%の場合は, 酸素濃度が不十分なことと相俟つて, 発芽は著るしく不良となり, 高濃度に於いては根端の褐変腐敗等の生理的障害を多発した。5. 炭酸ガスの高濃度下で発芽し得る性質にも種類によつてかなりの相異があり, ネギ, ハクサイは強く, ニンジン, ダイコン, カボチヤは弱かつたが, この順序は酸素の低濃度で発芽し得る順序とは必ずしも一致しないようである。6. 十字科作物を主どして, 適当に酸素を減じ, 或は炭酸ガスを加えることによつて, 人工的に休眠状態を誘起することができた。誘起された休眠種子は自然休眠種子と同様, 低温処理によく反応して発芽した。
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