果実の呼吸および成熟に対するエチレンの影響
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概要
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数種類の果実の呼吸および成熟に対するエチレンの影響を調べた.果実の呼吸に対するエチレンの有効最低濃度 (閾値)は, 温州ミカン, ナツミカン, トマトで1.0ppm以下であつた.トマト果実の成熟促進については, 緑熟期の果実に対しては1.0ppmで有効であつたが, 開花18日目の未熟果実に対しては効果が小さく, 果実の生育段階によりエチレンの有効最低濃度が異なるように思われた. また, エチレン濃度を10ppm以上にしてもその効果はほとんど増大せず, 成熟促進のためには10ppmで十分であると考えられた.10ppmのエチレンを3日間以上にわたつて作用させた場合, 温州ミカンおよびナツミカンでは処理開始2〜3日後に呼吸のピークが現われ, その後はエチレン処理を続けても呼吸量は減少した. 緑熟期のトマ下果実では, エチレン処理によりただちに呼吸の climaceric rise が始まり, 処理停止後も呼吸量の増大が続き, ピークに達した後減少した.カキ果実に10ppmエチレンを3日間以上にわたつて作用させると, 処理開始3〜4日後に呼吸のピークが現われ, その時には果肉が完全に軟化した. また, エチレン処理により, 甘柿富有では糖度 (屈折計示度) がやや増加する傾向がみられたが, 渋柿平核無では糖度が急減した.一方, 一日間処理でも果肉の軟化は速められたが, 3日間処理に比して軟化速度はかなりおそかつた. 他方, 3日間以上にわたつて処理しても, その効果の増大は期待できないと考えられた.
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