エチレンと果実生理 (第1報) : カキ果実について
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概要
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カキ「富有」果実を6月から11月にかけて適宜採取し,25℃で採取後の果実の呼吸量,エチレン生成および成熟の変化について調べた。1.7月末までに採取した若い果実(Stage I)では呼吸においてclimacteric様の変化がみられ,エチレン生成と果実の軟化がこれと同時に起こった。また,この両者のピーク時頃にヘタの脱落がみられた。8月中旬採取の果実(Stage II)では呼吸のピークは見られなかったが,エチレン生成においては明瞭なピークがみられた。ヘタの脱落は起こらなかった。9月下旬以後に採取した果実(Stage III)では呼吸量のピークはみられず,また,エチレン生成においてもピークは不明確となり,ヘタの脱落もなかった。調査した全期間の果実において,果実が軟化を始めると同時にエチレン生成が始まった。この場合,果実のエチレン生成能は果実の生育が進むにつれて減退するようであった。2.10ppmのエチレン処理は果実の呼吸量を増大させ,エチレン生成と果実の軟化開始を早めた。なお,この時のエチレン効果はStage Iの果実に対しては強く,他のStageの果実に対しては弱いようであった。3.成熟期の果実に1日間のエチレン処理をくり返したところ,第1回目の処理では内生エチレンの生成は誘起されず,つづく第2回目の処理によってようやく誘起された。なお,この場合のエチレン効果は,処理を受ける果実の熟度と関係があるように思われた。
- 千葉大学の論文
- 1979-12-20
著者
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