1-アミノシクロプロパン-1-カルボン酸処理が,種々の発育段階のカキ果実のエチレン生成に及ぼす影響
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概要
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種々の発育ステージのカキ「富有」果実に,1-アミノシクロプロパン-1-カルボン酸(ACC)を注入し,果実のエチレン生成量の変化を調べた。無傷の果実にACC水溶液を減圧浸透法(vacuum infiltration method)によって注入したが,その濃度はそれぞれ,0,0.04,0.2,1.0mMであった。ACC注入直後からエチレン生成はすべての果実で増大したが,ACC濃度が高いほど大きく増大した。1.0mMのACC処理によって,果実のエチレン生成量は対照区(水処理)に比し著しく増大した。しかし0.2mM及び0.04mMのACC処理では効果が劣った。また,ACC処理の効果は若い果実に対して大きく,成熟した果実に対しては小さかった。すべての発育ステージにおいて,対照区(水処理)のエチレン生成は1時間余のラグタイムを示した。これに対し,ACC処理果実にはラグタイムは認められず,カキ果実には常にエチレン生成酵素の活性が存在することを示した。以上のことから,無傷のカキ果実におけるエチレン生成には,ACC合成酵素の活性が低いことが制限要因となっている可能性が強いと考えられた。
- 千葉大学の論文
- 1989-02-26
著者
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