ナルトミカンの果皮組織におけるn-ヘキサナールの生成特に果皮の老化と生理障害 (果皮黄斑症) に関連して
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概要
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ナルトミカンの果皮組織 (フラベド) の磨砕物中にn-ヘキサナールの生成が認められた. ヘキサナールの生成は酵素反応によるものと思われ,その至適pHは4.5附近にあつた.果実の成熟期の11月下旬〜3月中旬に, ジベレリン(GA) 処理果,エセホン (CEPA) 処理果, 外なり及び内なり果を採取し, 果皮組織のヘキサナール生成量を比較した. 生成量は, CEPA処理>外なり>内なりまたはGA処理の順に多く, 果皮の着色または老化の程度と密接な関係がみられた.ナルトミカンの生理障害である果皮黄斑症の発生期の1月下旬〜3月中旬に, 障害果及び健全果を採取し, ヘキサナール生成量を比較した. 生成量は障害果の果皮の方が多かったが, 障害果の果皮の肉眼的異常部分と正常部分との間では差がなかった.ヘキサナール生成量は, 測定前の果実が置かれていた温度によって異なり, 20°Cに置いた果実の果皮は5°Cのものに比して著しく多かった. また, 5°Cから20°Cに果実を移すと, 3〜4時間で生成量が増加した.以上, 果皮組織のn-ヘキサナール生成能は, 果皮の老化の進展, 高温などによって高まり, その増大は老化に伴って起こる果皮黄斑症の発生にも関係しているように思われる.
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