ナルトミカン果実の発育に伴うフラベド組織の脂質の変化
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概要
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本研究は晩生カンキッの一つであるナルトミカン果皮フラベド組織の脂質の季節的変化を調べた.果実重は11月上旬まで増加し, その後の変化は少なかった. 着色は10月下旬頃から始まり, 2月に最も紅色が濃くなったが, 以後回青の傾向を示した.リン及び糖脂質の脂肪酸総量, とくに糖脂質の総量は果皮の成熟に伴って, 著しく減少した. ただし, 厳冬期(2月) にはとくに高度不飽和脂肪酸の著しい増加がみられた. 中性, リン脂質は主にリノール酸 (18:2), 糖脂質はリノレイン酸 (18:3) の増加によるものであった.主要リン脂質であるPC, PE及び主要糖脂質であるDGDG, MGDG量はそれぞれリン及び糖脂質の総量 (脂肪酸総量) と平行して変化した. DGDGの季節的変化はMGDGより大きかった.PC/PEの比は8月から12月までに漸減し, その後一定であった. 遊離ステロールの量は8月から10月にやや減少し, 厳冬期にピークがみられた. しかし, ステロール/リン脂質の比は冬期中, ほとんど変化がみられなかった. 成熟期 (12月から6月) のシトステロール/スチグマステロールの比は生育期 (8月から10月) に比べ.2倍以上に達した.
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