春咲きグラジオラスの形態的, 生化学的品種分類及び主要品種の類縁関係について
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概要
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春咲き品種5系統•5品種の成立過程を文献的に調べるとともに, 形態及び化学組成を明らかにし, 系統相互の類縁関係を考察した.1. 春咲き品種は, 夏咲き品種に比べ, 小型で草丈が低く, 葉幅, 花径, 花粉, 及び気孔も小さかった. しかし‘Elvira’や‘Comet’は夏咲き品種に近く, 大きい値を示した. 球茎のでんぷん粒は‘Robinetta’と‘Albus’が大型で長円形を示し, 他の品種は小型で円形であった.2. 葉組織より抽出したフェノール様物質は‘Comet’ と‘Charm’,‘Elvira’と‘Charm’, 及び‘Robinetta’と‘Albus’の間で共通のスポットが多く,‘Albus’と‘Robinetta’ は, 他の3品種と相関が少なかった.3. 花被より抽出したフラボノイド様物質は‘Elvira’, ‘Charm’,‘Robinetta’の間,‘Elvira’と‘Comet’の間, 及び‘Robinetta’と‘Albus’の間で相関が強く, ‘Albus’は ‘Elvira’や‘Charm’と関係がうすかった.4. アイソザイムバンドパターン (エステラーゼ, パーオキシダーゼ, 全たんぱく) をみると,‘Robinetta’と‘Albus’が極めて類似していた. また,‘Charm’,‘Elvira’, ‘Comet’の間でも類似点がみられた.5. 以上の結果より,‘Robinetta’と‘Albus’は化学組成が似ており,‘Comet’や‘Elvira’のグループとは共通点が少なく,‘Cham’はそれぞれのグループに対して中間的な位置にあった. これらの結果は形態的データーとも矛盾が少なく, 前報(4)の生態的分類の結果とも一致した.
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