イチゴ果実の成熟におけるサイトカイニンとABAの役割
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概要
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イチゴ果実の発育後期における生長抑制物質の活性の消長と果実発育におよぼすサイトカイニンと抑制物質との相互関係について調べた.1. 果実中の抑制物質の活性は果実の成熟とともに増大した. 昼温/夜温-30°C/25°Cで早く成熟した果実の方が, 昼温/夜温-20°C/17°Cで遅く成熟した果実よりも果実中の抑制物質の活性は早い発育段階で認められた. この抑制物質をさらに Sephadex でクロマトグラフィーをし, イネ幼苗テストで生物検定をしたところ, 標品のABAと同じ分画番号5および6に活性のピークが認められた.2. イチゴ果実を in vitro 培養した場合, 培地に添加したABAの濃度が高くなるにつれ果実の成熟までの日数は減少した. また, 果実をBAとABAのいずれも添加した培地で培養した場合, 果実の成熟までの日数は, BAの濃度に関係なく, もっぱらABAの濃度により決定された. さらに, BAを添加した培地で果実を培養すると, 果実の成熟は抑制され果実中のABA活性は低下した.以上の結果より, イチゴ果実の成熟については次のような結論をひきだすことができよう. すなわち, イチゴ果実の発育後期になると果実中のサイトカイニン活性が低下するためABAの生成が活発となり, 果実中のABA活性が高くなる結果, 果実の成熟は促進されるものと考えられる.
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