in vitro培養におけるイチゴ果実の発育におよぼす数種の植物生長調節物質の影響
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概要
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イチゴ果実の発育過程における心皮 (種子) の役割を植物生長調節物質の面から明確にするため, イチゴ品種"宝交早生" の開花1日前の果実の in vitro 培養を試みた.1. ナフタレンアセトアミド(NAAm)を含む培地で心皮を除去した果実を培養した場合, その果実は心皮を除去しない果実と同様に正常な形に肥大した. また, 心皮を除去せずに培養した場合, その果実の成熟は心皮を除去した果実にくらべ抑制された.2. ジベレリン酸 (GA3) のみを含む培地で心皮を除去した果実あるいは除去しない果実を培養した場合, いずれも本来心皮の着生していた部分はまったく肥大せず心皮の着生していない果実の基部のみが異常に肥大した. しかし, GA3とNAAmをともに含む培地で心皮を除去しない果実を培養した場合, 果実は正常な形に肥大し, 肥大および成熟はNAAmのみの培地で培養した果実にくらべ促進された.3. ベンジルアデニ (BA) とNAAmを含む培地で心皮を除去した果実あるいは除去しない果実を培養した場合, ぃづれの場合もBAの濃度が高くなるにともない果実の肥大および成熟は抑制された.4. マレイン酸ヒドラジド (MH) とNAAmを含む培地で心皮を除去しない果実を培養した場合, MHの濃度が高くなるにともない心皮の褐変が著しくなり, 果実の肥大および成熟は促進された.以上の結果より, イチゴ果実の肥大にはジベレリンよりオーキシンのほうが重要であること, および心皮でイチゴ果実の肥大および成熟に抑制的に作用するサイトカイニンが生成されることが示唆される.
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