シュッコンカスミソウシュートの異なる生育段階における高温遭遇がロゼット化および奇形花発生に及ぼす影響
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概要
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シュッコンカスミソウの生育開花に関する低温要求性の異なる品種, 系統を用い, 冬期の低温に遭遇した後の株において, シュートの種々の生育段階における高温遭遇がロゼットの形成および奇形花の発生に及ぼす影響について検討した.その結果, シュートが栄養生長段階である3月31日から4月10日に昼温30°C (6:00〜18:00) 夜温25°Cの高温処理を施すと, 低温要求性の大きい‘パーフェクタ’, ‘ブリストル•フェアリー’20系統では, その後生育, 開花に好適な条件下で栽培してもすべてのシュートがロゼットを形成した. これらの品種, 系統についで低温要求性の大きい‘ダイヤモンド’, ‘ブリストル•フェアリー’03系統においても高温遭遇後は半数のシュートがロゼットを形成した. 一方, 低温要求性の小さい‘フラミンゴ’, ‘レッド•シー’, ‘ブリストル•フェアリー’08系統では, ロゼットを形成することなく, 開花に至った.花芽形成開始直後に処理した高温は, 開花時の花茎を短くし, 主茎上の下位節での花芽形成を抑制した以外, 形態的な変化をもたらさなかった.頂花における雄ずい形成期である4月30日前後に高温を処理すると, 奇形花が発生した. 奇形花の形態的な観察を行ったところ, 奇形花は, 各小花が雄ずい形成期ごろに高温に遭遇することにより, その後雄ずい原基の細胞分裂活性が長期にわたり維持されるようになり, 雄ずいの花弁化が異常に進み, 花弁数が増加するとともに分裂部を中心に花弁塊が形成される結果, 発生するものと考えられた. また, 高温による奇形花の発生は, 低温要求性の大きい品種, 系統ほど著しい傾向にあった.以上の結果より, 低温遭遇後に高温に遭遇すると, 高温が低温の効果を打ち消し, 生理的にロゼット化を誘導する結果, 分裂組織における生育がより栄養生長的となり, 形態的にロゼットや奇形花を形成するようになることが考察された.
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