失語症患者における聴覚的理解障害の経過
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概要
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失語症の聴覚的理解障害の経過を知ることを目的に, 刺激法による訓練を受け, 全般的な言語症状の変化がプラトーに到達したか, 不変であった失語症患者206例 (全例右利き, 左半球病変, 訓練開始時期は発症後6ヵ月以内) について失語症鑑別診断検査 (老研版) を用いて検討し, 以下の知見を得た. (1) 聴覚的理解6指標のうち, 聴覚的理解モダリティーの経過は他の5指標と異なり, 初期より高い成績を示し, 変化の少ない例が多かった. (2) その他の聴覚的理解指標における回復経過はタイプにより趣を異にした. (3) 聴覚的理解経過における年齢差は, ウェルニッケ失語と伝導失語において顕著に認められた. (4) 聴覚的理解経過と口頭表出経過との関係は, タイプや指標によって異なったが, 個人差も認められた. (5) 聴覚的理解経過と口頭表出経過との関係における年齢差は健忘失語を除くすべてのタイプに認められたが, 特にブローカー失語 (軽) でめだった.
著者
-
物井 寿子
東京都老人医療センター言語聴覚科
-
福迫 陽子
東京大学医学部音声言語医学研究施設
-
廣瀬 肇
東京大学医学部音声言語医学研究施設
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福迫 陽子
東京大学医学部耳鼻咽喉科学教室
-
廣瀬 肇
東京大学医学部付属音声言語医学研究施設
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